Hand in Handreport.96

風評の払拭にむけて実際に現地に訪れて見たこと聞いたことや、携わっている方々のお話を分かりやすく伝えるレポートです。

インタビュー2025.09.26

福島県ゆかりの著名人が、いま伝えたい、
いまオススメしたい福島のこと。
その方ならではの視点で語る ――
「福島サポーターズ」。〜箭内道彦さん〜後編

箭内道彦さん

今回お話を伺ったのは、クリエイティブディレクターの箭内道彦(やないみちひこ)さん。
震災後、さまざまな活動をするうちのひとつ、「LIVE福島CARAVAN」という月に1度のラジオの公開収録で福島県内59市町村を巡り、異なる文化と風土を持つ浜通り・中通り・会津それぞれの自然の豊かさ、人の温かさに触れ、福島の魅力に改めて気づかされたといいます。震災をきっかけに見えてきた福島の多様性と可能性、若者たちのまっすぐな思い。そして「福島の楽しい一日」を全国に届けたいという願いについて、お話を伺いました。

福島県59市町村を巡る“LIVE福島CARAVAN”

僕は、2013年の12月から「風とロック LIVE福島CARAVAN」で、月1回ずつ福島県の59市町村を回っていて、もう2巡目です。ラジオの公開生放送をそこでしているんですけど、やっぱりね、本当に広いんですよ福島県っていうのは。

その中で、それぞれの豊かな自然があって、美味しいものがあって、面白い人たちがいて…。そういう場所なんだなっていうのを各地訪ねる中で改めて気がつき直しています。

僕が若い頃苦手だったことのひとつは、この距離感だったんです。結局近所の悪口を言ってるのも距離感が近い訳ですし、僕は大学に入るのに3年浪人したんで、その間も「もうやめちゃいなよ、そんな才能ないんだから…」「もう諦めた方が絶対親孝行だぞ!」なんて、こう色々言ってこられる感じが嫌だったんですよね。

でも、自分が年を取ったってこともあるんだけど、やっぱりそうやって人の心配をしたりね、なんだろうな?助言をするというか?一緒に苦しんだり、悲しんだり、ドキドキしたり、ワクワクしたりっていう。そういうところはあるんだなと思って。

3年浪人してる時に、僕はとっても感謝してるんですけど、「やめないで頑張りなよ!応援してるよ」って言われていたら、逆にやめちゃっていたと思うんですよ。受験をし続けることやめちまえ!って言われたから「何クソっ!」て思うことができて、それを言ってくれた人たちには本当にありがとうっていう風に今は思ってます。

人の温かさっていうのをものすごく感じるようになったことが、震災の前と後で大きく違う…そんな部分ですかね。

3つの地域の個性と「おだがいさま」の心でつながる福島

福島は「3つの県みたいだ」と言う人もいるくらい、浜通り、中通り、会津。それぞれ気候も違えば、名産も違う。いろんなことが違うんです。

来年(2026年)は、福島県ができてちょうど150年の年。浜通り・中通り・会津の3つがひとつになって(旧福島県、磐前(いわさき)県、若松県が合併)して150年が経つんです。

僕ら「猪苗代湖ズ」も、まさにそんな感じ。サンボマスターの山口は会津地方出身で、なかなか頑固で情が深くて熱い。渡辺俊美は浜通り出身で、ちょっととっぽくて、心地よい風が吹いてくるような男。僕と松田は中通り出身で、悪く言えばどっちつかず。でもその分、両者をうまくまとめたり、繋げたりする立場でもある。

だから、3つの地方出身の4人がひとつの音楽を奏でるというのは、喧嘩はしないけど「そうじゃないだろう」みたいなことが時々あったりして…。それもまた、象徴的な小さな出来事だと思うんですよね。様々な人がいて、ひとつに括ることはできなくて。

昔は「福島」と言えば福島市のことだったんです。東京に出てきて「どこ出身?」って聞かれても、「福島です」とは言わなかった。僕は「郡山です」と答えていたくらいで。

それが、震災を契機に、良くも悪くも「福島」というひとつの括りになったんです。

福島には「おだがいさま」という言葉があるんです。標準語で言うと「おたがいさま」なんですが、この「おだがいさま」の感覚を持って、会津の人たちが浜通りの人たちを受け入れて助けてくれた。避難してきた方々が住むようになって、元気な人が元気のない人を支えていく。それは、あれだけ広大な面積の県だからこそできたことじゃないかと思います。

福島には59の市町村があって、北海道・岩手に次いで全国で3番目に広い。一番西と一番東では、まったく違うし、行ったこともない場所もあるくらいです。

「知ってもっと近くなる 行ってもっとすきになる ふくしま」を、もっともっとたくさんの人に。「ふくしままっぷ友の会」Webサイトからの申し込みで、ふくしままっぷとノベルティがもらえる。
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ふくしままっぷ友の会

桃も梨も、米も酒も!でも、いちばんの名産は“人”

この季節だと、梨が出始めています。8月は桃でしたけど、福島の梨も本当に美味しいんですよ。

そして、前からずっと「人が名産」と言っているんです。もちろん桃も梨も米も酒も自然も素晴らしい。でも、そこから生まれてくる“人”もまた、福島の大きな名産だと思うんです。

特に若い人たち。震災の直後、お父さんお母さんがずっと苦労してきた背中を見て育った世代が、「故郷の役に立ちたいです!」って口々に言ってくれる。それは本当に心強いし、尊いことだなと思っています。

ただ一方で、若い時ってもっと…友達と喧嘩したり、間違った考えを持ったり、視野を広げたり、誰かを大好きになったり。そういうこともすごく大事だと思うんです。

だから、震災や大人たちが、若者に重い荷物を背負わせすぎているんじゃないかな…って思う時もあって。「そんなに頑張りすぎなくていいよ」って、一人ひとりに言ってるんです。

でも、とにかく皆さんキラキラと未来に向かっていますね。これからの日本や社会、世界を大きく変えてくれるかもしれないし、包み込んでくれるかもしれない。大きくなくても、新しいチャレンジをしていくような、そんな人が福島からどんどん生まれていく。そんな未来が見えています。

箭内道彦さん

福島の“楽しい一日”を全国に自慢したい

あと、ちょっと手前味噌になりますけど(笑)、芋煮っていうのがあってですね。汁ものです(笑)。里芋を煮て、野菜も入れて…。これは東北、山形や宮城、そして福島の秋の文化なんです。

食べるだけじゃなくて、みんなで集まってお酒を飲んだり、レクリエーションをしたり。子どもの頃からある行事なんですけど、本当に美味しいんですよ、この芋煮が。

さらに手前味噌で言うと、今年の10月4日・5日に「風とロック芋煮会」というイベントを開催します。2009年から毎年続けている、村祭りのような場。みんなで芋煮を食べながら、ミュージシャンが音楽を奏でるだけじゃなくて、今年は大喜利をしたり、DJ合戦をしたり、みんなで作っていくようなイベントです。

僕がこのイベントでやりたいのは、復興の発信とはちょっと違うんです。「福島にこんなに楽しい一日があるんだぞ!」っていうことを、みんなで全国に自慢して、羨ましがらせたいって思ってるんです。

震災の前と後を考えた時、マイナスをゼロにするのではなくて、「めちゃくちゃスペシャルなものが福島にはあるんだ!」っていうこと。それが、歩みを前に進めていく時に必要な要素なんじゃないかって。

こうやって理屈をつけるとちょっとカタくなっちゃいますけど…本当に楽しいんですよ!そこに、ぜひ来てくれたら嬉しいなって思っています。

箭内さんおすすめスポット猪苗代湖 天神浜ー猪苗代湖に沈む夕日ー
箭内さんおすすめスポット猪苗代湖 天神浜ー猪苗代湖に沈む夕日ー
箭内道彦さん|クリエイティブディレクター
箭内道彦さん|クリエイティブディレクター

東京藝術大学美術学部デザイン科教授。
郡山市出身。

タワーレコード「NO MUSIC, NO LIFE.」、リクルート「ゼクシィ」など、既存の枠に捉われない話題の広告キャンペーンを数多く手掛ける。

福島県では、県のクリエイティブディレクターやしゃくなげ大使、郡山市フロンティア大使を務め、福島県の今や地域の魅力を発信。コミュニケーションワード「ふくしまプライド。」、「福島県公式イメージポスター」、県総合情報誌「ふくしままっぷ」、ショート・ミュージカル・ムービー「MIRAI2061」、防災ガイドブック「そなえるふくしまノート」、動画「もっと 知って ふくしま!」など、数々のクリエイティブ広告を監修。

PRESENT

抽選で3名様にプレゼント
2025年9月19日(金)、9月26日(金)放送分では、箭内さんおススメの福島の味!福島県新地町・相馬市で水揚げされた新鮮なタコを使用した海鮮シュウマイ(浜福の「タコシウマイ」)とオリジナル手ぬぐいがセットになった『タコシウマイギフトセット』を抽選で3名様にプレゼント!

箭内道彦さんが取材の感想として書いている言葉が応募キーワードです。レポート後編をお読みいただき、番組ホームページのメールフォームからご応募ください。

本商品は、TOKYO FMで放送中の「Hand in Hand」内で応募プレゼントとして紹介されているものです。
本サイトからの応募はできませんので、希望される方はこちらよりご応募ください。
なお、応募締切は2025年10月3日(金)となります。

ラジオ放送情報

「Hand in Hand」は、平日朝6時から生放送でお届けするラジオ番組「ONE MORNING」内で毎週金曜の朝8時11分に放送。TOKYO FM/JFN36局ネットにてお聴きいただけます。番組を聴き逃した方は、ラジオ番組を無料で聴くことができるアプリ「radiko」のタイムフリーや「Podcast」でお楽しみいただけます!
※タイムフリーは、過去1週間以内に放送された番組を後から聴くことのできる機能です。

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イベント告知情報

箭内道彦さんが実行委員長を務めている音楽フェス「風とロック芋煮会」が2025年10月4日(土)、5日(日)の2日間、磐梯朝日国立公園、福島県北塩原村で開催されます。うつくしまふくしまの空の下で、美味しい鍋と音楽をお楽しみください。

風とロック芋煮会2025 IMONY IANRYOKO "KITASHIOBARAMURA"

風とロック芋煮会2025 IMONY IANRYOKO "KITASHIOBARAMURA"

開催日:2025年10月4日(土)、5日(日)
開催地:EN RESORT Grandeco(福島県北塩原村)

公式サイトはこちら

風とロック芋煮会2025 IMONY IANRYOKO "KITASHIOBARAMURA"
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