
福島県の沿岸部にある浪江町に2023年4月に国が設立した「福島国際研究教育機構」、通称「F-REI(エフレイ)」。前回の記事では、F-REIとは一体どんな組織なのか、どんな研究開発を進めようとしているのかをお伝えしました。今回はその続きです。世界トップレベルの研究開発に向けた未来への更なる展望と福島への思いを山崎光悦理事長に聞きました。
女性研究者30%以上 500人の研究集団を作る
- 諸橋
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これまでのお話で、F-REIが進めている研究開発や産業化にとても大きな展望を感じました。では、「人材」という点ではどんな未来像を描いていますか?
- 山崎
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我々の目標は、500人規模の研究者集団を浜通りに根付かせ、世界的に注目される研究拠点を築くことです。そのうち30%以上を海外からの研究者、30%以上を女性研究者とする目標を掲げています。これは簡単な目標ではありませんが、国際的な多様性を持つ研究拠点を作ることで、地域と世界をつなぎ、福島から新しい未来を創造していきたいと考えています。
- 諸橋
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日本の社会を成長させていくために女性の活躍促進が求められていますから「女性研究者が30%以上」というのは素晴らしい目標ですね。実現できそうですか?
- 山崎
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難しい目標ではあります。どの組織でも女性登用を推進していますが、大学もできていません。企業もできていません。自治体もできていません。しかし、海外を見てみると、分野によっては50%を超える方が女性研究者ということはいくらでもあります。最終的には、50%程度が女性研究者となるのが理想形だと考えています。課題はありますが、未来は見えています。

- 諸橋
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外国人研究者を福島県に呼び込むことも模索しているんですね。
- 山崎
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海外から研究者を連れてくるということは、ここに住んでもらうことになるので、独身の人もいれば家族連れでいらっしゃる人もいます。学校の問題、家族が働ける場所、病院などいろいろ困りごとがあるので、今のままでは難しいなと思います。そのために、私たちも努力をしますが、町や近隣の市町村にも頑張っていただいて、外国人にとっても浜通り全体が住みよい地域となるようにしていきたいと考えています。
教育・研究機関を集め、若い人材が働けるように
- 諸橋
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私も浜通りの出身、いわき出身なんですけど、夏は暑すぎないし冬は寒すぎないとてもいい土地だと思うんです。F-REIが目指すこの土地の未来像はどんなものですか?
- 山崎
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浜通りは緑が豊かで気候も温暖な地域です。私は北陸からこちらに来ましたが、雪が積もらない温暖な気候がとても気に入っています。また、復興の影響もあってか、ブドウ畑がどんどん増えており、ワイナリーも少しずつできているのが印象的です。この地域を日本のカリフォルニアのように発展させ、魅力的な場所にできたらと考えています。
- 諸橋
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浜通りにはそのポテンシャルがありますか?
- 山崎
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私は福島浜通りを「常磐カリフォルニア」と呼びたいと思っています。福島が、カリフォルニアのように豊かな自然と先進技術が融合した地域になれば、多くの人々が訪れ、住みたいと感じる場所になるはずです。そのためには、街づくりだけでなく、教育機関や研究機関をこの地域に集め、若い人材が育ち、働ける環境を整えることが重要です。
アメリカのカリフォルニア州といえば、自然の美しさや、多様な文化、温暖な気候、テクノロジーの中心、といった多彩な魅力に溢れている地域です。浜通りが日本の科学技術と産業競争力を世界トップレベルへと押し上げる存在となるためにも、F-REIの取り組みに期待が集まりそうです。

「人間洗濯機」を作ってもらえませんか?
- 諸橋
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私の野望も聞いて欲しいんですけどいいですか?最近、お風呂に入るのを面倒がる若者たちが増えていて、そういう人たちのことを『風呂キャンセル界隈』って呼ぶんです。私はお風呂に入るのは大好きなんですが、髪が長いのでお風呂に入ったあとに髪を乾かすのが大変なんです。もし、「人間洗濯機」っていうのがあったら便利だし、売れると思うんですけど、開発してもらえないですか?
- 山崎
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よくわかります。ロボット技術は今後さらに進化し、私たちの日常生活にも浸透していくと思います。たとえば、髪を乾かすのが面倒という要望に応えるようなロボットや、人間を自動で洗ってくれる「人間洗濯機」も実現するかもしれません。実は、1970年の大阪万博で「人間洗濯機」が展示されていたんですよ。しかし、当時は技術的に難しく、実現には至りませんでした。今後、介護の分野でも、人間に近い力加減を再現できるロボットが求められていて、そうした技術が進展すれば、日常生活の様々な場面で役立つロボットが生まれるでしょう。
- 諸橋
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最後に、福島国際研究教育機構を通じて、福島の未来に対する期待はありますか?
- 山崎
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福島はまだ多くの課題を抱えていますが、その一方で大きな可能性も秘めています。我々の取り組みが、地域の活性化や未来の技術の発展につながることを強く信じています。そして、この機構を通じて世界中の優秀な研究者や技術者が集まり、福島が国際的な研究拠点として輝く未来を目指しています。地域の皆さんと協力しながら、これからも挑戦を続けていきます。
- 諸橋
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ありがとうございました。福島の未来に向けて、これからも素晴らしい研究開発を期待しています!
福島国際研究教育機構は、震災からの復興と共に、地域の未来を担う重要な存在として活動を続けています。研究開発、産業振興、人材育成などを通じて、福島から世界へと広がる新たな可能性が、今まさに開かれつつあります。

PRESENT

日本一のお米を目指し、14年という歳月をかけて開発された「福、笑い」は、豊かな香りと強い甘み、ふんわり柔らかい炊きあがりが特長。品質維持のため、認証制度「GAP」を取得のうえ福島県などに認められた農家だけが生産することができます。
このページの中で、レポーターの諸橋沙夏さんが取材の感想として書いた言葉が応募キーワードです。ページをお読みいただき、番組ホームページのメールフォームからご応募ください。
本商品は、TOKYO FMで放送中の「Hand in Hand」内で応募プレゼントとして紹介されているものです。
本サイトからの応募はできませんので、希望される方はこちらよりご応募ください。
なお、応募締切は2024年12月6日(金)となります。
【動画はこちら】世界トップ水準の研究開発の実現を目指す研究機関「F-REI」をイコラブ諸橋沙夏さんが取材!
ラジオ放送情報
「Hand in Hand」は、平日朝6時から生放送でお届けするラジオ番組「ONE MORNING」内で毎週金曜の朝8時11分に放送。TOKYO FM/JFN36局ネットにてお聴きいただけます。番組を聴き逃した方は、ラジオ番組を無料で聴くことができるアプリ「radiko」のタイムフリーでお楽しみください。
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