
福島県飯舘村の新たな特産品として15年もの開発期間を経て2011年に誕生した「あぶくまもち」。新年の村民の集いで餅つきが行われてお披露目されたものの、2か月後の3月11日に発生した東日本大震災と原発事故で姿を消しました。
震災から10年後の2021年、その幻の特産品が、避難指示解除後にいち早く村で農業を再開した男性の手で復活を遂げました。「避難していたときも、再び米を作ることだけを考えていた」と農業の再生に情熱を注ぐ農家の青田豊実さん(53)です。
その「あぶくまもち」復活の話題は瞬く間に広がり、“おこわ”や“おこわおにぎり”として販売するとすぐに売り切れてしまうほどの人気となります。一体、どんな味なのでしょうか?福島県いわき市出身で女性アイドルグループ「=LOVE(イコールラブ)」のメンバー・諸橋沙夏さんの試食リポートです。
諸橋さん、初めての「あぶくまもち」
とんぼが舞う秋の飯舘村。視界一面、黄金色に輝く田んぼに案内された諸橋さん。そこに実っていたのは、作付再開から4度目の収穫期を迎えた「あぶくまもち」です。
「こんな大自然の中で食べるなんて遠足みたい!」と興奮気味の諸橋さんに、手渡されたのは村内の飲食店で作られたお手製の“おこわ”です。生産者の青田さんとともに、その味を確かめてみると…。
諸橋さん「モチモチしていておいしい!また山菜などの味付けも最高!」
青田さん「うまい!うまい!」

「あぶくまもち」はもち米の中でも粘り気が少なく固まりやすいため、旬の山菜を混ぜて蒸して作る“おこわ”で食べると絶品です。もち米でありながらも粘り気が少ないため、もっちり感がほどよい独特の食感で、具材の山菜の風味を感じながらどんどん箸が進みます。“おこわ”は通常のもち米だけで作ると粘り気が強くでてしまうため、白米を混ぜる場合もあるのですが、「あぶくまもち」はこれだけで絶妙なもっちり食感を生み出しています。
「田んぼで食べるのは初めてです。空の下で大自然の空気を吸いながら、こんなにおいしい“おこわ”を食べられるなんて、とても贅沢な時間ですよね」と諸橋さんも大満足の様子で、あっという間に完食してしまいました。
実は、村の特産品として復活した「あぶくまもち」が人気を集めたのには、この食べ方にこそ秘密があったのです。
この日、諸橋さんと生産者の青田さんが食べた“おこわ”を作ったのは、村内の食事処「気まぐれ茶屋ちえこ」を切り盛りしている佐々木千榮子さんです。「あぶくまもち」を使った“おこわ”を作り、道の駅で販売しています。

「もち米としてそこまで粘り気がないのに固まりやすいの。『あぶくまもち』は良い米だから、今日もおいしいものが出来上がると思うよ」と話す傍らで、厨房では蒸し器から湯気が上がっていました。
パックに詰められてできあがったばかりの“おこわ”を手にすると、じんわりと温かく、飯舘村の大自然のような優しい温かさが手のひらに伝わってきます。食事処を経営する佐々木さんも元々は農家。「あぶくまもち」の生産を再開させた青田さんの活躍について、こう話してくれました。
「私らも何十年も農家をやってきたけど、一度途絶えた田んぼや畑を再生するのはとんでもなく大変なんです。青田さんは本当にすごいと思う。今年はどのくらい収穫できるのか楽しみです」
というのも、「あぶくまもち」はまだまだ作付面積が少なく収穫量も少ないのです。そうした中で、生産者の青田さんを驚かせることがありました。
セブン-イレブンに並んだ飯舘産「あぶくまもち」
「棚に並んだ商品を見て“俺の米だ!”って思いましたね。まさか自分の米がセブン-イレブンに並ぶとは想像もしていなかった」

大手のコンビニエンスストアのセブン-イレブンで「おこわおにぎり」や「赤飯」などに加工され販売されることになったのです。作付面積が少ないため販売店舗は村内と一部地域のみで期間限定の販売でしたが、たちまち売り切れるほどの大人気商品となりました。
店頭に並んでもすぐに無くなってしまう光景を見て、青田さんはとても誇らしい気持ちになったそうです。
「食べてくれた人から、よくがんばったねとか、おいしかったよって声を掛けられるんです。有名になるのは苦手だけど自分が作ったものをたくさんの人に食べてもらえるのはうれしい。もっと作付面積を広げて多くの人に届いたらいいなと思います」

いつかは全国を代表するもち米に
現在は、もち米としての販売はしておらず、「気まぐれ茶屋ちえこ」でのおこわや、セブン-イレブンでのおこわおにぎりなど期間限定かつ村内飲食店での提供のみとなっていますが、元々は飯舘村だけにとどまらず阿武隈山系の厳しい環境でも育つようにと開発された「あぶくまもち」。飯舘村での生産再開をきっかけに、他の自治体にも栽培を広げていくのが目標です。
「今は飯舘村だけで作っているが、『あぶくまもち』と言われるくらいなので阿武隈山系周辺の市町村に広がってほしい。そして、いずれ全国に拡大していくことを祈って毎日、米と向き合っていきたいと思います」
セブン-イレブンとのコラボ商品も登場し注目を集める「あぶくまもち」。今年は昨年の2倍以上の収穫を見込んでいて、さらなる成長が期待されています。

PRESENT

しっかりとしたもちもち食感が多くの村民から愛される「あぶくまもち」。現在もち米としての販売はしておらず、コンビニエンスストアとのコラボなどの期間限定発売、あるいは村内飲食店での提供のみとなっています。めったに出会うことのない貴重な味を、ぜひご家庭でお楽しみください。
このページの中で、レポーターの諸橋沙夏さんが取材の感想として書いた言葉が応募キーワードです。ページをお読みいただき、番組ホームページのメールフォームからご応募ください。
本商品は、TOKYO FMで放送中の「Hand in Hand」内で応募プレゼントとして紹介されているものです。
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【動画はこちら】イコラブ諸橋沙夏さんが南相馬と飯館村で新たな特産品をリポート!
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