岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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地域で新分野への挑戦をする企業、備蓄食を軸に防災ビジネスに取り組む企業、航空と災害対策をつなげて“情報のビジネス化”を目指す企業。三者による座談会のテーマは「新産業の創造」。島田 約5年半保存できる備蓄ゼリー「LIFE STOCK」を世界で初めて開発し、災害時に幼児やお年寄りなどでも摂取しやすい備蓄食として展開しています。元々は宮城県で農業関連の事業をしていたのですが、東日本大震災発生時、避難所を回っていた経験から、誰もが食べやすく、栄養にも配慮した備蓄食が必要だという課題を実感。現在の事業をスタートさせました。東日本大震災をきっかけとした新たなものづくりで、未来を豊かにしていきたいと思っています。松浦 テラ・ラボは、愛知県・中部大学発の研究開発型ベンチャーです。2019年に福島県南相馬市に研究開発拠点を設け、災害対策として実用化できる固定翼型の無人航空機(ドローン)の開発を進めています。現在構築を進マイクロ歯車機構を中心にしたマイクロメカニズムの研究開発と、この技術を応用した情報・計測・医療機器等の製品の開発と販売を行う企業にて代表取締役を務める。2013年に初の自社商品となる、世界最小・最軽量のペン型電動ピペット「pipetty」を発表。代表取締役の島田氏が被災経験を通して見つけた課題を解決し、新たな防災の仕組みをつくることを目的として2016年設立。長期の常温備蓄が可能な備蓄食ゼリーとして開発された「LIFE STOCK」(※1)は宇宙食としての可能性も秘め、JAXAとも共創する。2014年に愛知県で設立し、南相馬市の福島ロボットテストフィールドを研究開発拠点とする研究開発型ベンチャー。松浦氏は代表取締役として、先端技術を駆使した長距離無人航空機による空間情報取得とそのデータ解析の “ビジネス化”を目指す。めているのは、長距離・高高度で飛ぶ無人航空機の測量技術によって、災害前後の地図情報を比較し、被害状況や位置を迅速に発見できるシステム。また、災害対策のデジタルトランスフォーメーションや、災害情報のプラットフォームづくりなどにも取り組んでいます。case398COLUMN株式会社アイカムス・ラボ まずは皆さんの自己紹介からお願いいたします。片野 アイカムス・ラボは、元々岩手大学発のベンチャーで、2003年に設立しました。岩手大学が研究に注力する精密金型技術を活用し、一つの歯の大きさが0.1㎜程度の超小型・高精度のプラスチック歯車を開発。この歯車を使用したマイクロアクチュエーター(※2)を、カメラや計測器、医療などの領域で販売しています。特に岩手県の産業政策である医療分野には力を入れており、独自ブランドとして電動ピペット「pipetty」を開発して国内外に展開しています。岩手県盛岡市株式会社ワンテーブル 宮城県多賀城市株式会社テラ・ラボ ➡P.40製品や技術の開発は、実際にどのように進めてきたのでしょうか。片野 新技術の開発といっても、最初から身一つでは何もできません。そこで、産学連携という形で自社事業を形にしようと、岩手大学との連携を進め福島県南相馬市先端技術の力で地域の課題を解決する単なる“ものづくり”にとどまらず、未来を変える“ルールづくり”を未来を語ろうを語ろう製造業片野 圭二氏島田 昌幸氏松浦 孝英氏地域とのつながりを大事に未来を変えるものづくりを

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