岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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未来を語ろう農業お2人の意見を受けて、針生さんはどうお考えになりますか。針生 サブスクや異業種交流の考え方は素晴らしいのですが、今は尖った商品を売っているライバルが多すぎる。ですので、販売戦略を仕掛ける上で誰と組むのかが大事になります。できればITに強い地域の若い人と組んで、全国のライバルと一緒に戦ってもらうのがいい。東京を主軸にした会社とお金のやりとりだけで組んでしまうと、なかなか継続できないんですね。オンラインでの人材確保も必要になってくるのでしょうか?針生 さまざまな業種の方が副業としてアイデア社員みたいな形で参加してくれる仕組みもできています。そういった方に週に1度だけでも会議に参福島県葛尾村のコチョウラン“hope white”が好きだというファンを数多く獲得し、安定した経営を持続したい。そのためにも市町村や業種の垣根を越えたコラボを展開していきます。(右)優秀な「V3」という品種の苗を使用して栽培。花びらが大きく、長持ちするのが特長 (下)再生可能エネルギーで生まれた電力を利用し、環境にも配慮す。県外の方に川内村の産物と組み合わせた「川内村マリアージュセット」のような商品で、川内村自体のファンを増やすこともできるのではないでしょうか。ワインなので、お肉とか。遠藤 お肉の話が出ましたが、田村市常葉町にある有限会社川合精肉店の社長とお付き合いがありまして、「ワインができたら、うちでイベントやろうね」というお話もいただいております。川内村の神明畜産株式会社からも豚の味噌漬けみたいな形で、ふるさと納税の一品に追加したいという話も出ていますので、ワインとセット販売する形もいいかなと。杉下 博澄氏の想い加してもらうのもいいですよね。お2人の考え方は間違っていないので、あとはそれをいかに地域で形づくるか。未来を見据え、問題点をしっかりと挙げながら前向きにアイデアを出す、そういうリーダーシップが必要でしょう。遠藤 そうしたリーダーシップを育てるためにも、魅力のある仕事をつくって、次の代、またその次の代へと巻き込んでいかないといけない。ワイン事業についても注目されていると思いますので、一つ一つ足元を固めながら、未来への人づくりを合わせてやっていきたいですね。針生 ワインの品評会もどんどん狙っていった方がいいですよ。できるだけいろんなところに参加して、自分たちがどの程度のワインなのかってことを確認していく。高みを目指すにはぜひ賞をいただくまで諦めない精神でがんばってもらいたいです。遠藤 ありがとうございます。コンクールは挑戦していき、五つ星をもらえるようなワイナリーを目指すつもりです。針生 いいですね。五つ星なら絶対においしいし、ド-ンときますよ!そういう意味では、かつらお胡蝶蘭さんは既にコンクールでいい結果を残していますね。杉下 われわれは事業開始当初からブランディングを念頭に置いて展開してきました。「hope white」という名前、ロゴも含めて、商標をつけて各卸売市場さんへ出荷する。ネット上での個別販売も、2021年度から特に取り扱い件数を増やすようにしていて、同じようにロゴと名前を入れて「これが福島県葛尾村のhope whiteです」と分かるようにしています。ただ、今は1社だけなので、栽培面積は都合600坪がキャパシティ。どんなにがんばっても月間で大体1,000鉢前後の提供量なんです。生産拠点が一つに限られると、当然ながら絶対量も増えませんので、経験を積んだ者が別の拠点を立ち上げるとか、外部の方が新たに栽培を始めるとかしながら産地化を形成させていきたい。今回のミーティングで出た諸々のアイデアをうまく活用させていただきながら、全国でもトップクラスのコチョウラン産地になるように、一歩一歩進んでいきたいと思います。針生 いいですね。これからの福島は、これまでの日本に無い新しい取り組みを認める寛容な地域になっていくことが大事です。やったことの無いような栽培の仕方を見て「なんだ、あれ?」というのではなく、「なるほど、ああいう方法もあるんだね」と認めていく。復興を目指す福島だからこそ、50年後、100年後に向けた1次産業の可能性を提示できるのです。93葛尾村にhope whiteあり!ファンを増やしていきたい新しい取り組みに寛容な地域になることが大事

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