岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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被災や風評を乗り越え、営農再開が進む“福島の農業”。未来を見据えて新しい農業にチャレンジする3事業者のリーダーに、その想いを語り合っていただいた。思っています。遠藤 私は川内村の役場から出向しております。かわうちワインは2016年の春に、今の高田島ヴィンヤードの3haほどのところから始め、2021年には1万3,000本ほどのワイン用のブドウが植えられています。川内村から借り受けた「かわうちワイナリー」で、2021年秋から醸造していく予定です。まずは地元の皆さまに飲んでいただき、地元に愛されるワイナリーになるべく、がんばって取り組んでいきたいです。杉下 かつらお胡蝶蘭は合同会社です。2018年1月に初めて苗を台湾から仕入れて、4年目を迎えました。現時点では300坪の栽培施設2棟で生産。首都圏、それから福島県内および東北の各卸売市場への出荷を中心に事業展開をしてきました。黒字を目指した3年東北最大規模の農地所有適格法人。針生氏は代表取締役社長として、6次産業化や大手コンビニやスーパーへの商品納入など、農業を軸とした多角的な経営を行う。2019年には福島県浪江町を本拠地とした新会社「福島舞台ファーム株式会社」を設立。川内村の復興、新たな農業への挑戦、村の交流人口や定住人口の拡大への取り組みとして、村の「高田島ヴィンヤード」で収穫するブドウを利用したワイン生産を行う。統括マネージャーとして、人材確保や育成などを進めていく予定。葛尾村の農業者3人と、村内出身者が代表を務める東京都の株式会社メディオテックにより、2017年に設立。営農再開に向け、新たな作物を模索していた葛尾村と連携して2018年1月からコチョウラン栽培に取り組み、農業の再生と雇用創出に貢献。目の2020年は、新型コロナウイルス感染症の影響で切り花の相場が大幅に下落してしまいました。それが、4年目の2021年度で黒字化を狙えるところまできました。ようやく安定化が見えてきた駆け出しの産地ではありますが、日々努力しながらやっております。case190COLUMN株式会社舞台ファーム まずは皆さんの自己紹介からお願いいたします。針生 舞台ファームは「未来の美味しいを創る」がコンセプト。安心安全な農作物を送り出し、「食卓イノベーション」という考えで食卓全体をコーディネートしていく、そんな農業会社になりたいと考えています。現在の日本の農業、1次産業全般に言えることですが、ほとんどが世襲なんですね。米農家は米を最大化し、養豚場では豚をとにかく多く飼うというやり方。養豚をやりながら牛肉や野菜を作る方は少ない。そういう意味でも、“農業上のマルチリンガル”をつくっていきたいと宮城県仙台市かわうちワイン株式会社 ➡P.28福島県川内村かつらお胡蝶蘭合同会社 ➡P.36福島での取り組みをお聞かせいただけますか。針生 舞台ファームは浪江町と、2018年より包括連携協定を結んでおります。被災当時に全町民避難の英断をなされた前町長の馬場有さんは、残念ながら任期の途中でお亡くなりに福島県葛尾村三者三様の農業形態とそれぞれが目指すもの日本の未来を想像しつつ新しいニーズに対応する未来を語ろうを語ろう農業針生 信夫氏遠藤 一美氏杉下 博澄氏50年、100年先の農業のため柔軟な取り組みを

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