岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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宮城県気仙沼市◆2018年に法人化母親の集まりの任意団体から実績を積み重ね、地元企業などの出資を得て法人化。地域を巻き込んでビジネスモデルを構築。地元のテレビ局や新聞、雑誌だけではなく、全国紙などにも取り上げられ、気仙沼のパステルが広く認知されるようになった。の風土に合ったパステルの種をフランスから輸入し、自社栽培することでパステル染め製品を柱の一つとしていく。世界的にも希少なパステルを用いることで、付加価値が高くなった。海に面した漁業の町の気仙沼の海の青色に、インディゴ染めの青のイメージが合致。「気仙沼ブルー」として特産になるかもしれないと考えた。製品から顔料へ主力商材を転換パステル畑を拡張し水耕栽培にも挑戦マスコミでも多く取り上げられ、寝具メーカーやアパレルブランドなどとの取引、首都圏の百貨店の催事での販売も行っていたが、2020年初頭からは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、対面販売の減少などパステル製品の販売は厳しい状況になってきた。そこで、藤村氏は収穫したパステルの顔料を主力商材として、食品色素や化粧品色素としても売り出していこうと考えた。「そのときそのときのリソースに合わせて、柔軟なかじ取りが求められますね」と藤村氏は語る。2018年10月に法人化したことで事業の安定性も増した。2kgの種をフランスから仕入れて始まったパステル栽培は、2018年から自家採種を行っており、2020年からは自社の34aアールの畑でパステルを栽培しているほか、実験的に水耕栽培にも取り組んでいる。うまくいけば安定的にパステルの収穫ができ、収量も増える。また、気候に左右されにくいので、全国で展開できるかもしれない。「将来はさまざまな希少植物を栽培する会社になっているかもしれません」と藤村氏は笑う。「創業当時の想定規模からは考えられませんでしたが、一企業の挑戦ではなく、地域に豊かさをもたらす産業として組み立てていきたいですね」と将来を見据える。パステルの水耕栽培に挑戦食品・化粧品色素の供給時代の変化に対応する外部リソースとの連携“幻の染料”パステルで染めた、やわらかいブルーが美しいストール自社の畑でパステルを栽培。6月から11月にかけて、5回ほど葉の収穫を行う気候に左右されるパステルの収穫を安定化させるため、水耕栽培に挑戦中。安定した収量を確保して、顔料生産を増加させる。そのノウハウを生かし、全国でパステルの水耕栽培ができるかもしれない。テキスタイル以外の素材にも利用可能な顔料として、パステルを天然食品色素や化粧品色素として供給することを目指す。そのときの環境やリソースにフィットするよう心掛け、地域の子どもたちに遺せる仕組みを目指す。社会福祉施設との栽培連携など、事業拡大しても創業時の理念の実践を継続する。◆日本唯一のパステル栽培事業者にフランスから2kg取り寄せたパステルの種から育て、採種して栽培を拡大。種子自体が希少なパステルを手掛ける日本で唯一の会社に。◆メーカーに顔料を提供当初は染色したテキスタイルなどを販売していたが、今後はパステルの顔料を生産して、寝具メーカーやアパレルブランドなどに販売する予定。7123成果とポイント年に向けて新商品の開発新規事業の開始新規のブランド立ち上げ事業内容の発信・PR2030

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