岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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南相馬市にある福島ロボットテストフィールドに研究室を設けて活動しています。災害時にドローンで情報収集するという、航空と災害対策とを組み合わせたハードルの高い技術、イノベーションに挑戦しています。都市の消費者と地方の生産者の間の常識のギャップを解消する新しいビジネスのヒントを見つけるため、小林社長は福島と東京の二つの生活拠点を大事にされています。新しい時代の女性起業家の魅力的な生き方です。弓削氏 詳細は➡40ページ詳細は➡50ページイプです。いずれにしても、額田さんが少し触れられたように、印象的な取り組みをしている企業が増えてきています。額田 被災地に進出してきた企業の活動の動機に、経済合理性に関わるものと、社会性や人間性に関わるものが絶妙なバランスで組み合わさっているところも興味深いです。価値を十分に発揮できていないもったいない資源があること、地域の中での競合が少ないこと、また行政からの手厚い支援があることなどの経済合理的な条件が地域に整っていることが、人を外から被災地に呼びこむことに効いています。しかしそれだけでなく、現場で見た社会的課題の深刻さに心を動かされたり、地域の人々との交流で触れた人情や心の温かさにほだされて地域のファンになる瞬間があったりといった非経済的な理由が、地域に深く関わって、地域課題の解決に粘り強く取り組み続けることを促す、大きな心理的エネルギーを生んでいます。移住してきた女性が起業した企業で、子育て中の母親が短時間でも働くことができ、収入も確保するために、収益の低いインディゴ染めから自家栽培のパステル染めに事業を転換しています。一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンは、海産物の加工・販売、イベントの実施、販路開拓、人材育成など多角的に取り組んでいます。そして、テラ・ラボは災害多発時代に必要な技術を備えた企業です。いずれも、女性の活躍や被災地の復興、複合災害といった、この10年の社会の変化を象徴する事例といえます。ただ、いずれも点であり、また、同様の事例が全国に存在しています。ですから、地域でこのような企業をつないで点から面にし、連携してプロモーションを行ったりすることが、これからは必要でしょう。コロナ禍のせいでクラスターは忌むべき言葉にされてしまいましたが、付加価値の高い企業のクラスターをつくることが、これからの東北3県の課題になると思います。6株式会社テラ・ラボ福島額田氏 株式会社陽と人福島ここに注目!ここに注目!弓削 株式会社渡工テクノサイトは高性能の工作機械を導入し、航空機分野などの高い精度を求められる分野の製品づくりに挑んでいます。テラ・ラボも、災害時にドローンで情報収集するというハードルの高い精密技術、航空機技術に挑戦しています。この2社が連携や提携をすることができれば、新しい展開が期待できるのではないかと思いました。また、株式会社ふたばは測量技術の会社で、災害の被害調査や復旧に関するノウハウを持っています。同じく双葉郡にある株式会社大和田測量設計も測量に関する技術・ノウハウを有しています。こうした企業が連携することによって、作業効率、生産性の向上につながり、人口減少や人手不足といった課題の克服にも結びつくでしょう。その素地は、既に萌芽していると感じました。田村 株式会社インディゴ気仙沼は、社会の変化や課題に企業が取るべき対応は

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