岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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6,490410大■町(104%)2512160140120100806040200山田町(146%)20102011201220132014201520169476505010地震とともに津波による甚大な被害が発生した宮城県・岩手県沿岸部。10年後の復興状況を概観する。農林業漁業・水産加工業製造業観光業商業津波被災農地の復旧と大区画化が進む漁港の機能は回復、水産加工業の売り上げは回復途上いまだ製品出荷額が被災前の水準に満たない自治体も津波被災地などの復興ツーリズムに期待続々と商業施設が開業し、にぎわいを創出●農地の大区画化の県別面積(ha)●水産加工業の売り上げの回復状況●沿岸部の主要自治体別の製造品出荷額等(2010年比)(%)●各県へ来訪した外国人延べ宿泊者数の推移●商業施設の開業大区画化に県名取り組む地区の計画面積(注1)宮城県岩手県18331220%以上40%未満20%未満80%以上90%未満資料:2021年4月 水産庁「水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケート(第8回)」南三陸町(151%)1601401201008060402002010201120122013201420152016201760050040030020010020102011※従業員数10人以上の施設における延べ宿泊者数。 ※2020年は速報値。 出典:観光庁「宿泊旅行統計」201220132014201520162017整備完了面積左記のうち(全体)大区画化を行った面積(注2)6,4905,680572219135124321540%以上60%未満100%以上90%以上100%未満東松島市(137%)塩竈市(128%)仙台市沿岸部(104%) ※宮城野区・若林区石巻市(95%)名取市(87%)気仙沼市(77%)女川町(48%)2018岩手県宮城県201820192020岩手県岩手県・2016年11月*山田町「オール」・2017年 4月*大船渡市「キャッセン大船渡」・2017年 4月*陸前高田市「アバッセたかた」・2019年 9月*釜石市「うのポート」・2020年12月*陸前高田市「発酵パーク CAMOCY」大船渡市(124%)久慈市(127%)陸前高田市(119%) 釜石市(117%)宮古市(99%)20172018(%)201020112012201320142015201620172018201920201031611752523645341207378宮城県15948岩手県833275437861宮城県(102件)岩手県(34件)宮城県宮城県・2015年12月*女川町「シーパルピア女川」・2016年12月*女川町「ハマテラス」・2016年12月*石巻市「石巻テラス」・2017年 3月*南三陸町「南三陸さんさん商店街」・2017年 4月*南三陸町「南三陸ハマーレ歌津」・2017年 6月*石巻市「いしのまき元気いちば」・2019年 4月*名取市「かわまちてらす閖上」・2019年10月より順次*気仙沼市「スローストリート」(対東日本大震災前の水準比)60%以上80%未満(年)99125183246325(%)(%)(年)(年)津波によって被災した農地の営農再開に向けて、農地復旧や除塩などを推進。農地復旧と一体的に農地の大区画化や利用集積を進めるなど、全国のモデルとなるような取り組みを実施している。宮城県、岩手県では復興交付金などを活用し、経営規模の拡大や農地の大区画化に取り組んでいる。被災した漁港のすべてで陸揚げ機能が回復。宮城県・岩手県の水産加工施設の大半では、業務が再開されている。一方、水産加工業の売り上げは回復途上。売り上げが東日本大震災前の水準以上まで回復した割合は宮城県25%、岩手県12%。8割以上回復した割合は宮城県57%、岩手県51%である。主な自治体の製品出荷額の推移を見ると、内陸部では東日本大震災以前の水準までほぼ回復しているが、沿岸部では回復途上の自治体もある。宮城県では自治体によって状況が異なり、被災前の水準に満たない自治体もいくつかある。岩手県では、概ね東日本大震災前の水準まで回復している。宮城県・岩手県の外国人観光客数は、2019年まで回復しつつあったが、2020年は新型コロナウイルス感染症による影響で激減した。コロナ禍以前には、復興ツーリズムへの関心の高まりから津波被災地を訪れる外国人が増加。コロナ収束後には「東日本大震災津波伝承館」などの訪問客が再び増えるのではないかと考えられる。被災各地で新しい商業施設が続々と開業。仮設ではない本設の商業施設によって、地域ににぎわいが創出されている。その背景には、復興庁による「まちなか再生計画」の認定がある。コンパクトで暮らしやすく働きやすい中心市街地の整備計画などを自治体が定めた「まちなか再生計画」の認定により、商業施設の整備について支援が受けられる。注1:津波被災農地と一体的に整備する農地を含む。(2021年3月末時点)注2:大区画化とは、農地を0.5ha以上の区画に整備するもの。(2010年を100とした場合の指数)出典:経済産業省「工業統計」57【産業・生業の復興】

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