岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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人気商品の開発秘話世嬉の一酒造素材の特徴を熟知した専門店が手がけた石巻金華茶漬けは、全10種類。国産かつおぶし上粉と三陸産わかめを使用し、具材はすべて石巻で加工。老若男女を問わず安心して食することができ、贈り物やお土産としても広く人気を博している。石巻うまいもの岩手県一関市人気の理由宮城県石巻市人気の理由 岩手県一関市田村町5-42 0191-21-1144 https://sekinoichi.co.jp/ 宮城県石巻市魚町2-12-3 石巻市水産総合振興センター1階 0225-25-4363 https://umaimono-ishinomaki.com/世嬉の一酒造株式会社石巻うまいもの株式会社定番8種に加え、季節限定ビールなど種類も豊富。ショコラスタウト(右)、トマトエール(左)各550円素材を味わえるように、具材の種類ごとに異なる味付けになっている。各648円 「いわて蔵ビール」には、陸前高田産のカキや一関産の山椒の実など、地元の食材を使用したビールが多い。これは、「世の人々が嬉しくなる一番の酒造りを目指す」という理念と、ビールを通して世界中の方に岩手の良さを知ってほしいという思いが込められた結果だ。 東日本大震災では工場や酒蔵が甚大な被害を受けたが、グループ補助金やクラウドファンディングによる資金で改修。以後、順調に回復・成長している。社員の定着率の高さも生産性の向上につながっている。パート社員は繁忙期のみの季節雇用を廃止し、採用する際も正社員への登用を前提としている。それが人材の幅広い活用、閑散期を生かした新商品開発へとつながり、カカオの香りを生かしたショコラスタウト、一関産トマトを使用したトマトエールなど、ユニークな季節限定商品も数多く誕生している。 努力が実を結び、「いわて蔵ビール」は、多くの世界大会で受賞。アメリカの有名なレストランのシェフから高い評価を得たことから、海外への輸出も拡大。着実に世界が認めるビールへと成長しつつある。 国内外から支援を受けた石巻から、命の源となる“食”を通じて感謝の意を伝えようと、食に携わる10社が手を取り合って立ち上げた「石巻うまいもの株式会社」。各社の素材と技術が詰まった“うまいもの”で人々を笑顔に、と開発されたのが「石巻金華茶漬け」だ。 「石巻の新しいお土産を作る」というコンセプトをもとに、各社が得意とする素材を使った「お茶漬け」の商品化が決定。10社が一丸となって取り組むことで、商品開発のアイデアや製造の幅が広がるという大きなメリットがあった。味や品質管理で1社でも不備があると、ブランド全体に悪影響を及ぼすため良い緊張感もあったという。 客の声をじかに聞くことでより良い商品開発と販売促進を行うために、直売所を開設。各社の商品をワンコイン(500円)以内で手軽に楽しめるようにと、単身世帯に便利な少量パックの商品を販売した。参加各社の販売網を最大限に活用し、自社商品だけでなく全商品の営業を行ったことで、地元の取引先やECサイトで売り上げが増加。地域の活性化につながった。55グローバルな世嬉の一酒造の酒造りの技と、醸造士の経験・知識により生まれたクラフトビールブランド。これまで国内外の大会で多くの賞を獲得し、高い評価を得ている。季節限定ビールなど種類も豊富。オーダーメイドビールや、オーガニックビール醸造も人気。事業内容の発信・PR取り組み人材育成新規のブランド立ち上げ事業内容の発信・PRマンパワーと地元食材を生かし、世界が認めるビールへと成長いわて蔵ビール10社がチーム一丸となって商品開発や営業を行うことが最大の強み石巻金華茶漬け

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