岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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福島県新地町共生の環境づくりに励んでいく高級感あるラウンジはビジネスにも最適「つるしの湯」は美肌効果のある“美人の湯”で女性客に人気新地町駅周辺地区では最も大きな施設であり、名実共に新地町のランドマークとして認知していただけるようになりたい。地元でイベント等があったとき、何かしらの力になる準備と心構えはできている。地域のほかの多くの企業も同じような思いでいると思うが、そうした多くの企業、多くの地域の人々と協力・協働して町全体をにぎやかにして、地域の価値を高めていきたい。宿泊業は裾野が広く、Face to Faceで地域の人とつながる業種であり、中小企業だから小回りが利き、融通が利く。そんな会社だからこそ、できることがあると思っている。より良い町づくりを進めていく上で、この施設は地域の人たちと一心同体であり、共生できる環境づくりに励んでいく。◆新地町への新たな来街者を生んだ2019年6月の開業以降、宮城県山元町や丸森町の企業の宴会にも多く利用されるなど、温浴施設・レストランは、新たな来街者を呼び込むことに一定の役割を果たしていた。コロナ禍以降の利用は落ち込むが、2020年秋からは月に1~2回、ホテルの駐車場で「サタディマルシェ」を開催し、好評を得ている。◆新規雇用50人を創出社員・パート合わせて約50人を新規に雇用。ほかにも、地元食材を使った料理の提供、地元特産品の販売、地元企業とのタイアップに力を入れており、地域の活性化に貢献する。◆地域の連携を強化し新プランを企画中宴会利用を通じてつながった企業と連携し、山元町でのいちご狩りバスツアーなどを実施。さらに地域でのネットワークを広げ、強化していく中で、コロナ禍収束後に打ち出す予定の地域資源を生かした新しいプランやコラボレーション企画を準備中。業は十分に成り立つ」と考えていたという。2019年10月、台風19号が襲来し、福島県、宮城県でも多くの河川が氾濫するなど、大きな被害が出た。新地町と西隣の宮城県丸森町では、広域で断水被害もあった。この災害に際し新輝は、行政と連携し、ホテルを避難所として被災者を受け入れ、新地町・丸森町の町民がつるしの湯を無料で利用できるようにした。両施設とも地下水を利用し断水の心配は無く、敷地内で天然温泉が湧き出していることが災害時に役立った格好で、期せずして認知度を上げることもできた。ホテルは、作業員の利用を主に、客室稼働率70~80%を達成。温浴施設、レストランも客足は順調。宮城県山元町や丸森町の企業の宴会にも多く利用され、特にレストランの売り上げが好調だった。また、宴会利用を通じて地域の数多くの企業とつながることができ、その関係性をベースにビジネス上の連携も生まれている。例えば、ホテル発着の「山元いちご農園いちご狩りバスツアー」が2021年に実施された。開業前、年間利用客数を、ホテル3万人、温浴施設12万人と見込んでいた。その見込み客数の達成が射程に入ってきた2020年春、新型コロナウイルス感染拡大によって状況が一変してしまった。温浴施設とレストランは約1カ月半休業。営業再開後も客足はコロナ禍以前の状態には戻らず、ホテルの客室稼働率も大きく落ち込んだ状態が1年以上続いている。さらに、2021年2月の福島県沖地震で新知町は震度6強の揺れに見舞われ、ホテルの建物に被害が出た。アクシデントが続く中、鈴木氏は「新型コロナウイルスの感染が収束しない限り、人々が観光に動き出すことは無い。今は“弾込め”のときだ」と考えている。そして、感染収束後、いかに魅力的な企画・プランが打ち出せるかが本当の勝負だという。そのときに備え、地域の価値をどのように高めていけるか、今まさに新しいプランの仕込みをしているところだ。495成果とポイント年に向けて新地町のランドマークを目指す新規事業の開始2030

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