岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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株式会社新輝カブシキガイシャシンキ 宿泊業  今野健児氏[代表取締役] 福島県相馬郡新地町駅前1-2 0244-26-6888 0244-26-6889 https://www.hotelgradoshinchi.com/ 2016年 45人 非公開 300万円 新地駅前のホテル・温浴施設の運営事業者に選定された有限会社ケントレーディングが設立した子会社で、「ホテルグラード新地」と「天然温泉つるしの湯」の建設、事業運営に当たる。◆にぎわいの創出、交流人口の拡大新地駅前の「にぎわいある拠点」づくりにおいて、ホテル・温浴施設は中核的な役割を担う。地域社会からの大きな期待に応え、復興まちづくりに貢献することが求められていた。◆雇用の創出、地域経済への貢献新施設開業で、新規雇用の創出だけでなく、幅広い業種の地元業者との取り引きが生まれることによる地域経済への貢献も期待された。◆新地町の観光資源の発掘とPR 観光資源に乏しく、家族連れ・観光客の集客は大きな課題。観光資源を発掘し、それを集客につなげる魅力的なプランが求められていた。事業統括総務部長の鈴木氏(右)、総支配人の我孫子悠氏(左)、ホテルマネージャーの小澤法子氏(中)新地町は、東日本大震災からの復興に当たってJR新地駅周辺を町の新しい拠点にしようと、2012年度から複数の事業を進めていた。復興まちづくりの柱となるのが、内陸側に軌道を移しかさ上げして再建される新地駅の周辺に、複合商業施設、多目的ホールなどが入る交流センター、ホテル・温浴施設、スポーツ施設などを集積し、「にぎわいある拠点」をつくろうという事業だ。にぎわいある拠点の中核的施設となるホテル・温浴施設の運営事業者は公募され、2016年8月、有限会社ケントレーディングが選定された。ケントレーディングは、1998年に新地町の南隣、相馬市で創業し、現在は浜通りを中心に複数ブランドの飲食店を経営する会社だ。これまでホテル事業も温浴施設運営も手掛けたことはなかったが、代表取締役の今野健児氏が「かねてからホテル事業に進出したいと考えていた」ことと、「たくさんの人を迎え入れる器としてのホテルが存在することが、被災地の復興にとって大きな意味がある」と社会的意義を重視したことで、新たな事業、新たな町への進出を決めた。2016年11月、ケントレーディングはホテル・温浴施設の運営に当たる子会社「株式会社新輝」を設立し、開業準備を本格化させていく。翌12月には、JR常磐線駒ケ嶺(新地町)ー浜吉田(宮城県亘理町)間が予定を前倒して復旧し、新地駅も営業を再開。開業を予定する、2019年春が待たれた。開業初年度、年間見込み客数達成を目前に新型コロナウイルスの感染拡大に襲われた2019年6月1日、客室数108室を擁する「ホテルグラード新地」、岩盤浴やリラクゼーションなども備えた「天然温泉つるしの湯」が開業。新輝の事業統括総務部長、鈴木将人氏は、「福島県北部から宮城県南部にかけての太平洋側に競合する施設は無く、事業環境は整っている。オーバースペックではないかと思うほど施設・設備は充実し、親会社が飲食店経営だけあって料理には特に自信を持っている。評判が浸透するのに時間はかかるが、きちんとしたサービスを提供していけば、事48背景と課題相馬市の飲食店経営企業が新事業に進出し新地町の「にぎわいある拠点」づくりに参画福島県新地町にぎわい創出の中核的役割を果たし、にぎわい創出の中核的役割を果たし、新地町のランドマークを目指す新地町のランドマークを目指す株式会社新輝55

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