岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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年に向けて“空の産業革命”が追い風になる福島県南相馬市◆2023年春には実用化の見込み南相馬市に新設する「TERRA LABO Fukushima」が、間もなく竣工。長距離無人航空機による災害対策が、2023年春ごろにも実用化される見込み。◆「ロボットのまち南相馬」推進に協力2019年12月、南相馬市と「近未来技術の社会実装化に関する事項」等について協定を締結するなど、「ロボットのまち南相馬」の推進に協力している。人口減少の抑止を考えると、事業に魅力があれば、若い世代に夢を与えて流出を食い止め、UターンやIターンを促して人を呼び込むこともできるので、発信力の高いブランディングが重要になってくる。台風の被害状況を3次元データ化し、南相馬市の災害対策本部へ提供令和3年7月伊豆山土砂災害では発生直後に現地に入り翌日には現地を空撮したコロナ禍によって航空業界の再編は加速するだろうと考えている。加えて、パイロット不足などの社会的要因、国の制度の見直しといった政治的要因もあり、有人航空機の無人化が促進される。大きな変革“空の産業革命”であり、追い風を受けて事業に取り組んでいく。若い世代、子どもたちには、夢を持ってもらいたいし、地域を愛するようになってほしい。テラ・ラボにとっても南相馬市は第二の故郷であり、地に足を付け、根を張っていくつもりだ。その中で、地域の子どもたちと触れ合い、子どもたちの思いを大事にしながら、自分たちの事業にできることを探して、少しでも地域の発展に貢献していきたい。南相馬市は雇用の創出が期待できる場所南相馬市には、若い世代に夢を持たせるような企業が数多く集積している。南相馬市に集積した企業同士、あるいは地元企業との連携により、直接・間接の雇用の創出に貢献していくことも視野に入れている。子どもたちに夢を持ってほしいを提供。地元企業等と連携して空撮した被害現場の映像を地図上で一元管理できる体制を構築して、市の災害対策本部で報告を行い、機動的な災害対応の一翼を担った。そして、現在テラ・ラボが南相馬市で行っているのが、「衛星通信を活用した長距離無人航空機による大規模災害対策システム」の研究開発。その実用化に向け、①長距離・長時間・高高度を飛行する無人航空機の開発、②災害対策に活用するための空間情報データの収集・解析システムの確立、③運用に関わる地上支援システムの構築、に取り組んでいる。2021年10月には、南相馬市復興工業団地内に、新たな施設「TERRA LABO Fukushima」が竣工する予定だ。この施設は、①固定翼長距離無人航空機の製造・整備を担う「製造・格納庫」、②飛行制御を行うとともにデータ解析機能を備えた「管制室」、③管制室からの映像を受信し関係各機関との連携を図る「危機管理対策室」を有し、緊急事態に素早く対応できるシステム運用の構築を目指している。長距離無人航空機を活用した高精度の空間情報取得とリアルタイムの情報共有により、災害現場に関わる人員のリスクの軽減や、災害発生時の各組織の初動や意思決定への貢献が期待される。新施設の稼働開始に合わせ新たにスタッフを雇用し、2023年春ごろの実用化・事業化を予定しているという。こうした最先端技術を駆使した長距離無人航空機による空間情報取得とそのデータ解析を、テラ・ラボは、“ビジネス化”していこうと考えている。「ドローンが代替するのが地上測量であるのに対し、長距離無人航空機が代替するのは、セスナやヘリコプターを使った航空測量だ。有人航空測量を無人化してコストダウンを実現するというビジネスで、民間航空測量会社からの受注が十分に見込める」と、松浦氏は考えている。社会課題の解決に挑むベンチャーの挑戦が、新しい形の“空の産業”を誕生させようとしている。41成果とポイント新規事業の開始作業効率・生産性向上人材育成2030

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