岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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株式会社ホップジャパンカブシキガイシャホップジャパン 飲料・たばこ・飼料製造業/農業 本間 誠氏[代表取締役] 福島県田村市都路町岩井沢北向185-6 0247-61-5330 0247-61-5331 https://hopjapan.com/ 2015年 849万円 非公開2015年に宮城県仙台市で設立されたクラフトビールメーカー。2018年に休眠状態だった田村市都路町の公共施設「グリーンパーク都路」に本社を移転し醸造を開始。田村市の契約農家とホップ作りから取り組む。 6人◆ホップ作りから始めるブルワリーを起業東日本大震災を契機に、アメリカのシアトルで経験した“人をつなぐクラフトビール”で社会に貢献したいという思いで起業。後発のため、原材料であるホップの栽培から自社が関わるメーカーを目指した。◆ホップ栽培の協力農家が見つからず国産ホップの多くは大手メーカーに供給される。自社用のホップを栽培してくれる農家を探す必要があったが、協力してくれる農家はなかなか見つからなかった。◆避難指示区域の休眠施設の活用法田村市は2014年まで一部地区に避難指示が出されていた。そのため、一部施設が休眠状態となっており、施設の活用や雇用の場の創出が課題となった。「人をつなぐクラフトビールで社会に貢献したい」と代表取締役の本間氏は話す株式会社ホップジャパン代表取締役の本間誠氏は、電力会社に勤務していた2008年から2年間、アメリカのシアトルに留学していた。そこで本間氏が見たのはクラフトビールが生活の中に根付いた姿だった。「土地ごとにブルワリーがあって、それぞれの味や香りを楽しみました」と本間氏。クラフトビールが人をつないでいる様子が気に入り、いつかは自分も造りたいと考えていた。2010年に帰国。翌年に宮城県仙台市で東日本大震災を経験したことで、自分の使命とは何か、自分のやりたいことは何かを考えるようになり、2015年に仙台市で起業。“人をつなぐクラフトビール”による社会貢献を志した。「しかし、クラフトビールのメーカーとしては後発なので、他社と同じことをしていては埋没するだけです」と本間氏。そこで、多くのメーカーでは、原料のホップは外国産が使われていることに着目して、まずはホップ作りから始めることを考えつく。メーカーへのヒアリングも重ねて、国産ホップの需要も確認できていた。起業後の1年間は仙台市で事業を行っていたが、福島県のファンドから支援を受けられることとなり、支援の条件となっていた福島県への本社移転を実施。さらに、2017年には復興庁からの紹介もあり、休眠状態だった田村市都路町の公共施設「グリーンパーク都路」にある建物を市から譲渡され、2018年に現在の場所へ本社を移転した。「福島県はかつてホップの一大産地だったそうですが、既に栽培は途絶えていました。そこで福島で事業を行うのであれば、福島のホップを復活させようと取り組みを始めました」。協力農家はなかなか見つからなかったが、探し歩く中で本間氏はホップ栽培の課題に気付いた。ホップは畑に設置したワイヤーから吊るした紐に巻き付いて上に伸びていくため、摘み取りは高所での作業となり、かつては脚立に上って行っていた。しかし、高所での作業は、高齢者などには負担が大きく危険もある。「そこで、ワイヤーをウインチで下げることができるようにし、脚立などに上らなくてもホップを摘み32背景と課題ビールの原料に着目して競合と差別化かつての一大産地・福島でのホップ栽培復活福島県田村市クラフトビールを基点とした「循環」でクラフトビールを基点とした「循環」で雇用を生み出し地域を活性化雇用を生み出し地域を活性化株式会社ホップジャパン0707

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