岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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福島県川内村◆2021年秋より自社醸造を開始2020年にワイン用ブドウを初収穫。山梨県のワイナリーに醸造を委託し、2021年3月に川内村産ブドウを使用した初のワインを、750mLボトル700本分製造した。2021年6月には「かわうちワイナリー」が完成したことで自社での醸造が可能となり、秋より約1万本のワイン醸造を開始する予定。ワインの産業化に向けた第一歩を踏み出した。年に向けてに高田島ヴィンヤードのすぐ横に誕生した「かわうちワイナリー」で、約1万本のワインを製造する予定だ。真新しい醸造設備がブドウの収穫を待っている。ワイン造りは長い時間がかかる仕事将来を考えたブドウ栽培、人材育成が必要かわうちワインは6次産業化に向けて、川内村産ブドウや川内村の酵母を使った高品質なオリジナルワインの製造を目指しているが、計画はそれだけにとどまらない。将来的には、高田島ヴィンヤードを見渡せるオープンデッキをワインの試飲やランチを提供するレストランにしたり、不定期で開催する予定のワイナリーツアーに関連する観光施設や宿泊施設を設けたりすることも視野に入れる。川内村産ワインを通じてかわうちワインのファン、川内村のファンを増やし、交流人口や定住人口の拡大につなげていくことを考えている。今後の課題は、ワイン事業に必要な人材の確保だ。現在はブドウの栽培管理を5軒の農家が担当し、ワイン造りの支援などには、川内村の「地域おこし協力隊」が当たっているが、特に人手を要するブドウの収穫については「収穫ボランティアを募り、手伝ってもらう予定です」と遠藤氏。そのほかにも福島大学の学生を受け入れ、栽培作業を共に行うなど、まずはワイン造りの基幹となるブドウ作りで、交流人口を増やすことから始めている。遠藤氏は「ワイン造りは息の長い取り組みが求められる仕事で、かわうちワインの収支も、10年先の2031年に合う計画になっています」と言い、ワイン造りと同時に、後継者づくりにも取り掛かっている。小学生向けの栽培体験やワインのラベル作り体験、高校生を対象にブドウ栽培の体験学習などを実施している。こちらも息の長い取り組みが必要だ。「また飲みたくなるワイン造りのために、いいブドウを栽培する必要があり、今はそこに全力を注ぐべき時期です」。遠藤氏たちの挑戦はこれからも続く。収支が合うのは2031年資源を生かした魅力づくり人材の確保が今後の課題(左)2021年6月に開所したワイナリーは地元での期待も高い(右)2021年3月に委託醸造で完成した、川内村産ブドウを使った初のワインかわうちワインの収支が合うのは、計画では2031年の予定。当面はブドウ栽培、ワイン造りの基礎を築くことに注力するとともに、人材確保や育成などを進めていく予定だ。「かわうちワイナリー」のワインやロケーションを活用した観光施設・宿泊施設作りや、川内村の酵母を使ったオリジナリティの高いワイン造りなどを計画している。持てる資源を最大限に活用した魅力づくりが今後のテーマだ。交流人口や定住人口の拡大とともに、ワイン事業に必要な人材の確保が今後の課題となる。魅力的な産業に育て上げることで、人材も惹き付けたい。◆ブドウ栽培は順調に拡大2015年に高田島ヴィンヤードを開発して、2016年に2,000本を植え付けたところから始まった川内村のワイン用ブドウ栽培は年々拡大。2021年には約1万3,000本のブドウが栽培されており、約5tの収穫を目標としている。◆後継者の育成に取り組む小学生向けのワインのラベル作り体験や、高校生向けのブドウ栽培の体験学習などを実施し、人材育成にも取り組む。2905成果とポイント新規事業の開始新規のブランド立ち上げ人材育成2030

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