岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2021-2022 第二章、始動~ニッポンの次世代モデルを目指す
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株式会社福島しろはとファームカブシキガイシャフクシマシロハトファーム 農業 永尾俊一氏[代表取締役] 福島県双葉郡楢葉町前原浜城1 楢葉町甘藷貯蔵施設内 0240-23-4172 0240-23-4173 https://www.shirohato.com/FUKUSHIMA_NARAHA/ 2019年 2,800万円(2020年度)、2,200万円(2019年度) 5,100万円 「平成29年度農林水産祭天皇杯」を受賞した「なめがたファーマーズヴィレッジ」を設立、運営する白ハト食品工業株式会社が、同様の事業を楢葉町で展開するために設立した農業生産法人。 12人◆高品質な原料の安定的確保と多産地化おいもスイーツの原料となる品質の高いサツマイモを安定して確保することは、事業の根幹に関わる重要事項。さらに、自然災害等のリスクを分散させる観点から、多産地化も重要な課題となっていた。◆農家を守り、産地を育てる必要性2000年に農業に進出して以降、農業の持続可能性を高めるためにも、若い世代の就農を促進し、農家と産地を育成していく必要があると認識していた。◆被災地の復興と風評対策茨城県行方市への進出を計画する中、東日本大震災被災地の復興と風評対策において、白ハト食品工業だからこそできる支援があるはずだと考えた。代表取締役の永尾氏は「消費者に安心を与えるには産地に住む女性と子どもの笑顔が大事」だと話す大阪府守口市の白ハト食品工業株式会社は、ナチュラル&ヘルシーなおいもスイーツの店「らぽっぽ」と、たこ焼き・明石焼きなどたこ料理の専門店「たこ家道頓堀くくる」を中心に、国内外に約100店舗を展開する。代表取締役の永尾俊一氏は、「『この世女の好むもの 芝居・浄瑠璃 いも・たこ・なんきん』という江戸時代の川柳があるように、サツマイモとタコは昔から日本人に身近な食材。私たちは、その食材に芝居や浄瑠璃のような“魅せる”要素を付加し、おいしさとともに女性を笑顔にするような幸せをお届けしている」と語る。主力事業の一つであるおいもスイーツの原料のサツマイモは、以前はほとんどが輸入だったが、中国のカントリーリスクを懸念し、2000年に農業生産法人を設立。直営農場、協働契約農場でのサツマイモ栽培を始めた。2009年、中国産サツマイモの調達が難しくなった際、競合他社が原料確保に苦しむ中、白ハト食品工業は生産を滞らせることは無くシェアを大きく伸ばす。永尾氏は、高品質な原料の安定的確保が最重要の経営課題だと改めて認識し、新しい産地の開拓、栽培面積の拡大とともに「作物と農家を守る」ことを目指した。2011年、国内有数のサツマイモの産地、茨城県行方市への進出を決める。9月に収穫したサツマイモから放射性物質は検出されなかったが、市場からは敬遠された。ここで永尾氏は、「消費者に安心感を持ってもらうには、産地に住む女性と子どもたちが笑顔になることが大事。その笑顔が、負のイメージを払拭してくれるはず。女性と子どもたちの笑顔を大切にしてきた私たちが、その真価を発揮するときだ」と考えた。そして、2015年秋、サツマイモ生産農場、加工工場を併設した体験型農業テーマパーク「らぽっぽ なめがたファーマーズヴィレッジ」をオープンさせる。このテーマパークが人気を集め、今や年間27万人超が来場する。永尾氏の構想通り、行方に来園者・来街者の笑顔が広がった。加えて、行方産サツマイモのブランド力も向上した。単価は上昇し、生産量も東日本大震災前に比べ30%アップ。農業を継ごうと24背景と課題白ハト食品工業の被災地での取り組みが農業と社会経済の復興の起爆剤となった福島県■葉町耕作放棄地を集約し、畑を“大型化”耕作放棄地を集約し、畑を“大型化”IoT導入で最先端の高効率農業を展開IoT導入で最先端の高効率農業を展開株式会社福島しろはとファーム0303

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