岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2019-2020 東日本大震災から9年~持続可能な未来のために
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少しのアイデアで、働きやすさは変わる。地域産業の挑戦事業者取り組み紹介株式会社佐藤金属管理部 部長 鳴海大輔氏宮城県岩沼市下野郷字中野馬場34-48https://sato-metal.co.jp金属のリサイクルおよび産業廃棄物処理を行う。東日本大震災では4mの津波の直撃を受けたが、従業員一丸となり早期復旧を達成。2015年に経済産業省ダイバーシティ経営100選に選定された。株式会社門間箪笥店代表取締役 門間一泰氏宮城県仙台市若林区南鍛冶町143http://sendai-monmaya.com1872年創業。国の伝統工芸品である仙台箪笥の企画製造販売を行う。洋風の生活様式にもマッチするオリジナル小型家具「monmaya+」など挑戦的な取り組みも怠らない。2014年より海外販路を拡大。宮城県漁業協同組合 志津川支所 戸倉カキ部会志津川支所 支所長 阿部富士夫氏宮城県本吉郡南三陸町戸倉津の宮1(戸倉出張所)http://www.jf-miyagi.com(宮城県漁業協同組合)南三陸町の戸倉地区でカキ「戸倉っこカキ」養殖を営む漁業者でつくる。2016年3月、環境や地域社会に配慮した養殖事業者だけに与えられる国際認証のASC認証を日本で初めて取得した。女性が力を発揮しやすい職場づくりへの取り組み●フレキシブルな勤務形態●人事評価制度の明確化Action●人材のミスマッチの減少●女性の応募人員の増加Results東日本大震災の直後、従業員の離職が相次ぎました。悩ましかったのが、優秀な働きざかりの女性たちが子育てをしながら働ける環境が十分でなかったこと。「多様な人材一人ひとりに、自分の人生を充実させてほしい」。そんな思いから、自由な勤務形態や明確な人事評価制度を採用。性別・年齢にこだわらず、従業員一人ひとりに最適な業務を、適切なボリュームで任せることが可能になりました。その結果、人材のミスマッチによる負荷がかなり軽減され、業務の流れがスムーズになりました。時短勤務や週3日勤務など、それぞれの従業員の生活に合った働き方を認めている過酷な労働イメージを払拭! 若手漁師が増加 ●過密養殖の見直し●労働時間の削減Action●生産性の向上●若い世代の漁師が増加Results被災前は過密養殖だった漁場を区画の見直しによって整理しました。ここでの大きな変革は、「量より質」の考え方になったこと。当初は養殖場を削減したことで生産量が減るかと心配されましたが、むしろ無駄がなくなったことで生産量は2倍に伸びました。何より大きかったのが、労働時間の短縮です。10時間から6時間に減り、その結果、「過酷で所得が不安定」というイメージが払拭され、漁業を志す若者が増えました。少しの変化で、ここまで環境が変わったことには、私自身も驚いています。普段は衝突することも多かった漁業組合員が、3年の間共同作業に取り組んだ「社員全員で取り組む」を重視。社内の衝突減らす●社内情報共有ツールの活用●企業理念の意識合わせAction●社員の団結力アップResults伝統工芸品の市場は右肩下がりで非常に厳しい状態にあります。そこで目を向けたのが海外進出でした。その結果、かなり売り上げを伸ばすことができましたが、その反面、国内の売り上げが減ってしまったのです。それにより、伝統を守ってきた社内の職人の不満が爆発。そこで、ビジネス用の情報共有ツールを活用し、まず社内の情報格差をなくすことから始めました。企業理念を再定義し、社員全員で共有したのです。そうして、全員の目線を合わせることで、徐々に社内がまとまっていきました。現代の生活様式に溶け込むデザイン性の高い「monmaya+」シリーズは人気商品の1つ93

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