岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2019-2020 東日本大震災から9年~持続可能な未来のために
92/145

『産業復興と働き方改革』セミナーレポート『産業復興と働き方改革』セミナーレポート「地元で心地よく働く」ということを考える2019年11月15日(金)、宮城県青葉区の東北学院大学のキャンパスで、復興に向けて先進的な取り組みを行う事業者によるセミナーが開催されました。テーマは「被災地の復興・発展と『働き方改革』の関係」。本誌監修委員会の柳井教授の司会で、東北で先進的な取り組みを行う3つの事業者が被災地の復興の鍵となる人員不足や労働環境の改善について講演しました。当日の様子をレポートします。「産業復興と働き方改革」~リサイクル・漁業・伝統工芸のここが変わった!! 学生・新人・経営者が共に描く未来の「働き方」〜学生や企業人を対象に、2018年度事例集掲載企業が、それぞれの業種ならではの働き方に関する課題と、雇用や就業・キャリアアップ等の取り組みを紹介。復興からつながる未来の働き方を共有しました。●開会の言葉(復興庁)●基調講演(柳井雅也教授)●事業者講演●ディスカッション・質疑応答セミナー概要発表事業者●株式会社佐藤金属(岩沼市)●宮城県漁業協同組合志津川支所 戸倉カキ部会(南三陸町)●株式会社門間箪笥店(仙台市)人には目標を、企業には利益を、そして地域には夢を基調講演柳井雅也教授 (本誌 監修委員会座長)1958年宮城県仙台市生まれ。経済地理学を専門に、先端技術産業の立地や地域経済論を研究。主な著書に「企業空間とネットワーク」(共著・大明堂)、「地域産業の再生と雇用・人材」(共著・日本評論社)等。東北学院大学 教養学部 地域構想学科長学生室副室長被災地の事業者にとって、人材不足や労働環境の課題は根が深く、解決が非常に困難であるように見えます。そんな中、改革に成功している事業者の共通点は、復興をゴールとせず、常に次の目標や施策を考えていること。例えば、株式会社ワンテーブル(P.36〜39)の島田社長は、多賀城市の雑草取りプロジェクトを大学生ボランティアに協力依頼することで予算を大幅削減、かつ短時間で対応しました。加えて、余ったコストで自主的にハーブの苗植えを実施し、そのハーブを使用してドレッシングを開発して販売。新たな産業にしたのです。一つのリソースをどんどん次の段階に昇華させて新しい価値を生み出し、課題に対して柔軟な策を取り、コストを削減しながら利益を生み出す。そしてその利益を地域に還元していくことが、今後の被災地発展のキーになっていくと思います。92

元のページ  ../index.html#92

このブックを見る