岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2019-2020 東日本大震災から9年~持続可能な未来のために
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「木守り専科(防炎)(耐候)」「防炎」は植物油をベースにホウ酸系防炎成分を配合し、高い防炎効果を生み出す。「耐候」はフッ素系樹脂と高UVカット剤を配合し、屋外で約8年にわたり色落ちしにくい耐候性を誇る。氏が受け持ち、東アジアは取締役事業統括部長の藤田悠氏が担当する。「言語習得にも取り組んでいます。直接話せるというのはビジネスの世界で大事なことなので、がんばっています」と藤田氏も意気込み十分だ。石川氏が掲げるシオンの経営理念は「木と塗料に関わる仕事で、『社員・顧客・社会』をHappyに」。まずは社員に対して、「個を生かす」「仕事を楽しめる」「報酬が高い」「安心して働ける」の4つを実現すると決めている。「お客さまとじかに接するのは社員ですので、会社の社員に対する接し方が良ければ、社員もお客さまと正しく向き合ってくれるはずです」。社員のHappyが顧客のHappyにつながるという考えだ。そして社会をHappyにする取り組みとして、地域の人材育成、自然環境の育成、福祉活動への協力を挙げる。「すべては人。今後も地域が豊かであるために必要な人材を育てることに取り組みたいと考えています」。10年後のビジョンとして、「10社を傘下に持つホールディング会社を設立すること」を掲げる。シオンも傘下の一つとなり、後継者は藤田氏が内定している。売上高は1社数千万円から3億円程度を想定。10社で10億円程度を達成することを思い描く。「かつてコンサルティングの仕事をしていたときは経営者という立場の経験がなかったので、今思えばうわべだけの『口だけコンサル』の典型だったと思います」と石川氏は省みる。「今はメーカーの代表としての実績があります。ホールディング会社ができた暁には、この経験を生かして企業メンターとしての仕事をしたい」。将来へ続く「100年貢献カンパニー」として、岩手から国内にとどまらず世界を相手に事業を展開し、地域活性化に貢献していく。“人材ファースト”の理念で地域に貢献する企業目指す1シオンの主力商品である「U-OIL」。安全性の高さと、カラーバリエーションの豊富さが多くの顧客をつかむ2「U-OIL」には木材用の塗料としては珍しい鮮やかなブルーや淡いピンクなど、全66色がラインアップ345工場内には塗料を作るための薬品が所狭しと並ぶ6「『U-OIL』を通して木の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい。そして、木を通じて生活に笑顔を届けたい」と語る石川氏7「お客さまがどのような目的・環境で使用するのかを理解し、最適なものを提案することを大切にしています」と語る取締役事業統括部長の藤田氏8社内には「100年貢献カンパニー」のビジョンが掲げられ、社員一同、共通の意識を持って事業に臨んでいる01復興五輪新分野/新市場/海外進出観光振興/地域交流拡大事業承継被災地での再生・創業/被災地への進出5678常識をひっくり返す発想で、顧客の「困ったな」を解決!最初の製品が売れない逆境時に、顧客の「困ったな」に立ち戻り、常識から離れることができたのがポイント! 新しい製品コンセプトと多品種少量の生産体制のもとで、経営の好循環を生み出しました。成功のポイント顧客の持つ常識を変え東アジアでも需要開拓欧米圏だけでなく、東アジアでの販路拡大にも果敢に挑戦中。中国や韓国の顧客の持っている常識を変える力が、当社にはありそうです。国際的な挑戦は、社内人材育成の場ともなっています。期待するポイント監修委員によるコメントと評価額田春華氏監修委員21

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