岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2019-2020 東日本大震災から9年~持続可能な未来のために
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支援を有効活用 お金工場や設備の復旧ばかりに気をとられ、事業全体を見る余裕がなかった顧客の被災による市場縮小の見通しが甘かったグループ補助金をもっと早期に活用すればよかった 補助金に頼りすぎたことが失敗だった自社商品の状況把握ができておらず、効果的な再建計画を立てられなかった東日本大震災後の需要を見込んでいたが予想に届かず、もう少し厳しく計画を立てるべきだった災害などに備えて、銀行からの借り入れは少なくしておくべきだった資金計画についてアドバイスを受けるべきだった内部留保の確保ができていなかった過剰な設備投資が収益を圧迫した被災による売上減少復旧・復興の資金調達借入金の返済事業計画被災による資本喪失「あれは失敗だった」と感じること「お金」の面での失敗の主な要因には、被災地の状況に対して、冷静な判断ができなかったり、事業計画や資金の見通しが甘かったりしたことがあげられるだろう。被災による休業などで売り上げが減少することや、販路が縮小することは容易に想像できたはずだ。また、発災前の状況を考えると、多くの業種で業績の大幅なアップが難しいのも明らかだった。一方で、工場などのハードの再建に必要な資金は、補助金を含めて、比較的容易に調達可能だった。多くの企業では補助金などを有効に活用していたが、建設業や水産加工業の一部では、必要以上の規模の工場や設備を用意してしまい、売り上げが追いつかないために稼働率が低下して、事業の継続が不可能になったというケースが見受けられた。やはり身の丈にあった事業計画の策定と、運転資金などに関して、金融機関などから的確なアドバイスを受けることを優先することが、持続的な事業運営に欠かせないといえるだろう。身の丈に合った事業計画が持続的な事業運営には欠かせないQ復旧・復興をしていくうえでどのような「お金」の課題がありましたか[複数回答可]138

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