岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2019-2020 東日本大震災から9年~持続可能な未来のために
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原価が高騰し、借り入れの負担が現在も影響している原料の調達に追われることが多々あったニーズに対応できる委託生産などの体制を拡充しておけばよかった顧客とのコミュニケーションが足りなかった風評への対策が足りておらず、生産したものを販売することができなかった風評による機会損失原価・経費の増大消費者マインドの変化施設・設備の喪失販路・市場の喪失・縮小「あれは失敗だった」と感じること「モノ」に関する課題の中で、まず対処する必要があるのは「販路・市場の喪失・縮小」だ。大手のスーパーマーケットなどでは、納品が半年間できないと、ほぼ確実に「タナ」を失うことになり、取り戻すことは不可能に近いといえる。販路を維持するのは、顧客に確実に商品を届けて信頼を守るためであり、他社のラインを借りてもいいし、プレハブの仮設工場でもかまわないので、一刻も早く事業を再開することが必要だ。こうした「顧客ファースト」の姿勢を明確にすることが、最終的には自社の利益となって戻ってくる。顧客を大切にすることに強いこだわりを持っている企業には、復興を遂げ、今も元気に活動しているところが少なくない。東日本大震災では、サプライチェーンの喪失や風評被害など、対応の難しい課題も生じている。そうした課題を乗り切るためには、顧客ファーストのようなビジョンを持ち、ぶれることなく取り組むことが重要になってくる。販路の維持が最優先の課題なりふり構わない活動が必要早期の事業再開 モノ自社にも風評が広がることを予測できなかった津波などを想定した設備・機材の配置を考えておくべきだった被災前と同規模の工場を再建したが、販路喪失により稼働率が低迷した自社を取り巻く状況が変わったことへの理解不足で、 柔軟な対応ができなかった 認識が甘く、「タナ」を失うことへの対応が遅れたQ復旧・復興をしていくうえでどのような「モノ」の課題がありましたか[複数回答可]136

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