岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2019-2020 東日本大震災から9年~持続可能な未来のために
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住み続けられるまちづくりを人口集中が進む都市のインフラを強靭化するとともに、大都市圏への過度の人口集中の対策に取り組むつくる責任 つかう責任大量生産・大量消費のサイクルから脱却し、環境負荷の少ない、持続可能な生産と消費の形態に変えていく平和と公正をすべての人に企業活動においても透明性や説明責任は求められ、企業市民として公正な社会の実現に貢献する必要があるパートナーシップで目標を達成しよう1から16までの目標の達成のために、資金、技術などあらゆる面で、課題を共有する対等な関係を構築するSDGsを理解するために テーマを日本に当てはめて事業との接点を探ろう被災地の企業は、一人勝ちではなく「分け合う」感覚を大事にしている被災地におけるSDGsの取り組みの特徴は、どこか* * *東日本大震災で大きな危機を経験したからこそ、被災地の企業の皆さんは変革の必要性をより真剣に考えておられるように思います。例えば、従業員の雇用と生活を守るために、さまざまな困難を抱えていても働き続けられるよう、仕組みを変えた。その結果、柔軟で多様な働き方が実現したり、女性も活躍する職場になった──という企業があります。この事例は、「最初は意識していなかったけれど、後から見るとSDGsの理念に合致した取り組みになっていた」という典型です。会社側の都合だけを考えたわけではなく、素晴らしい事例だと思います。ただ、今後は、SDGsを最初から意識し、次世代のこと、地球のことを考えた取り組みにしていくことが大事です。SDGsの17の目標を、自分たちの行動の「指針」として活用してください。そうすることで、今の取り組みを続けていけば別の課題の解決にもつながるということが発見できたり、次の事業展開の方向性を決めるヒントが得られたりするはずです。17の目標は相互に関連するものであり、何か一つの目標をきっかけにして別の目標の達成にも貢献できるよう、取り組みが広がっていくことを期待しています。もう一点、被災地の事例を見て気付かされるのは、「シェアする・分け合う」という価値観が浸透していることです。多分被災地の皆さんは、「貧困」よりも「格差・不平等」の方が地域社会に亀裂を生むということを認識していらっしゃるのでしょう。被災地の地域社会に立脚した企業は、自分だけが一人勝ちするという価値観ではなく、どうやったら地域のみんなと分配できるかという感覚で事業を展開しています。SDGsに取り組む中では、「所有する」という概念から離れ、「分け合う」とか「循環させる」といった感覚がとても重要です。これからも「一人勝ちではなく、分け合う」感覚で事業を行っていってほしいと思いますし、その価値観をより多くの人たちと共有できるようにしていってほしいと思います。Q110

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