岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2019-2020 東日本大震災から9年~持続可能な未来のために
109/145

孫・子にも良いか? 地球にも良いか?そこまで考えることがSDGsの理念Interview中小企業経営者は、SDGsをどのように理解すればよいか* * *日本の社会でもSDGsは広く知られるようになってきましたが、17のゴール(目標)にばかり関心が向けられているように感じます。もちろん個々の目標達成も大事ですが、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」という理念と、「2030年のあるべき社会」の方向性をしっかりと理解、認識してほしいと思います。今までのやり方、仕組みでは、環境も経済も社会も持ちません。これをトランスフォーム(変革)し、「誰一人取り残さない、持続可能な社会」にしていくことが目的なのです。17のゴールとは、その目的に沿って、領域ごとに設定されたQ目標だと理解してください。では、SDGsをどのように理解すればよいのでしょうか。私はよく「SDGsとは三方良しプラス2だ」という言い方をします。近江商人の経営哲学である「三方良し=売り手良し、買い手良し、世間良し」に、「孫・子良し、地球良し」を付け加えた「五方良し」。これがSDGsの実践のポイントだといえます。これからは、次世代・次々世代の人にとっても良いことか、地球に負荷を掛けていないか、というところまで考えた事業が求められます。そして、いかに「五方良し」を実践しているのか、顧客(買い手)や社会(世間)に対して説得力を持ったストーリーをつくれるかどうかで、企業が選ばれ続ける価値が決まってくるのだろうと思います。東京の民間企業の社員教育部門に3年半勤務。退職後環境NPOなどでの嘱託スタッフやボランティアを経て1998年4月より日本NPOセンターに勤務。2014年8月から2017年3月まで事務局長。2017年4月から2019年3月まで、一般社団法人SDGs市民社会ネットワークと日本NPOセンターを兼任。主にNPOに関する相談、研修、全国大会などの企画・運営とNPO法人制度に関するアドボカシー事業を行う。また、行政や企業のNPOとの連携・協働プログラムの相談や企画運営を行う。一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク 事務局長新田 英理子氏 (にった・えりこ)貧困をなくそう国内の「相対的貧困」の割合を半減させる。日本では、一人親世帯と子どもの貧困率が高く、取り組みが必要ジェンダー平等を実現しよう「女性を優遇する」ことではなく、「女性が活躍し、性別による役割分担の思い込みを見直す」ことが目標エネルギーをみんなに そしてクリーンに一人ひとりが、CO₂の排出削減と再生可能エネルギーの選択に取り組む働きがいも 経済成長も経済成長のために、労働者の命や尊厳を犠牲にしてはならない。過重労働をなくし、働きがいのある雇用をSDGsを理解するために テーマを日本に当てはめて事業との接点を探ろう109

元のページ  ../index.html#109

このブックを見る