岩手・宮城・福島の産業復興事例集30 2019-2020 東日本大震災から9年~持続可能な未来のために
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2030年の東北を目指してSDGsSDGsの視点で見る先進企業の取り組み「誰一人取り残さない(Leave no one behind)」とは、SDGs(持続可能な開発目標)がその前文に掲げる中核的理念だが、東日本大震災からの復興に向かうとき、被災地のほとんどすべての人が心に思ったことでもあるだろう。一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク事務局長の新田英理子氏は、「『今のままのやり方ではもたない。トランスフォーム(変革)しなければならない』というSDGsの認識は、被災地が感じている危機感と重なるのではないか」と、指摘します。被災地の産業復興を目指す取り組みをSDGsの視点で捉え直すことによって、これまでは見えていなかった取り組みの意味を認識したり、新たな課題を発見したりすることができるのではないか。──こうした問題意識の下、新田氏にお話を伺うとともに、地域社会の持続可能性向上に努める先進企業10社の事例(過去の産業復興事例集で紹介した企業も含む)をレポートします。「2030年の東北」を目指す各社の歩みは、被災地のみならず日本の次代を示すヒントにもなると考えます。SDGs(Sustainable Development Goals)は、正式には「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」といい、2015年9月の国連総会で193カ国、すべての加盟国が採択した。先進国と途上国が一致して同じ開発目標に取り組む、世界規模のまったく新しいアプローチである。①前文、②宣言、③目票とターゲット、④実施手段、⑤フォローアップとレビューで構成され、2030年までの国際社会共通の目標を掲げている。経済・社会・環境・ガバナンスの諸領域を包括する持続可能な開発のための目標(SDGs)と、その目標を細分化した169のターゲットから構成される。SDGsとは何か?108

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