被災地の元気企業 40
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取り組み(事業内容) ビジョン 挑戦事例 情報関連サービス業、大槌町 ゼロから起業したITベンチャーが地域の復興に貢献 KAI OTSUCHIの挑戦 雇用の創出を通じて 地域活性化に寄与したい ● ICT(情報通信技術)人材の育成 ● 雇用の拡大を通じた町の活性化 ● 地域人材によるIT企業の起業支援 一般社団法人KAI OTSUCHI 理事長 平舘 理恵子 氏 「将来的には30人の雇用を目指したい」人口が1万人強の大槌町でICT(情報通信技術)関連事業を行っている(一社)KAI OTSUCHI。その理事長を務める平舘理恵子氏は語る。法人名の「KAI」には「会」「海」「櫂」の意味があり、海辺に人が集い、自らの手で明日へ漕ぎ出すという思いが込められている。 全員がアプリ開発未経験からのスタートであったが、設立後2年経過した2015年1月現在の雇用は9名(うち8名は大槌町出身者)となり、2014年3月にジャパンハウジング㈱と共同で企画・制作した絵本アプリ「よこはまガイド絵本」は、アプリコンテスト「YOKOHAMA Ups!」のアプリ開発部門にて最優秀賞を受賞するなど、着々と実力を付けつつある。 平舘氏は、2013年5月からKAI OTSUCHIに参画し、2014年6月より理事長として運営を行っている。地方の女性は仕事の選択肢が少なく都会に働き場を求めて出てしまうことが多い。「特に子供を持っている女性や一度退職した女性などに新たな就業機会の選択肢を提供し、若い人のUターンの受け皿となりたい。そしてICT人材が育ち集積する地域となることで多くの起業が生まれ、将来は大槌をシリコンバレーのようなベンチャー精神あふれる地域にしたい」と大槌の未来を語る。 町と大学が連携し雇用創出へ KAI OTSUCHIは、大槌町、関西大学との間の包括的なまちづくり協定による自律的復興支援プロジェクト「SHIP」の主導により2012年8月に設立。被災地における企業のICT人材の育成から個人の技術習得、雇用の拡大を通じて、町の活性化を図る取り組みとして位置づけられている。 iPhoneアプリの作成 KAI OTSUCHIでは、2013年1月に初のiPad絵本アプリ「インディアンの森」をリリース。2013年7月には初の受託案件として、京都観光用iPhoneアプリ「Leafの京都カメラ」をリリースし、その後もiPhoneおよびiPad用アプリ「よこはまガイド絵本」、「うめ屋の福岡カメラ」が開発された。このようにプログラミング未経験者が研修でアプリ開発能力を習得し、新たな雇用が生まれている。 これまでは復興支援目的による受注・開発が中心であるが、「自主企画による開発など私たl ちでなければできない仕事をしていきたい」と平舘氏は目標を語る。 3Dイメージの 復興計画の作成で町の復興に貢献 大槌町は復興計画の方針として住民との協働を掲げ、町づくりのイメージを町民と共有するために、大槌町の各地区における復興計画の動画を3DイメージでWEB上にて公開しているが、これはアプリ開発の実績をもとにKAI OTSUCHIが作成を受託したものだ。 刻々と変わる復興事業が常に反映された3Dイメージは、KAI OTSUCHIの従業員が新しく身に付けたスキルで住民主体の復興に活かされた取り組みである。 94

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