被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
86/146

73 事例1-20 代替施設での生産による販路維持と商品開発力をベースに した新工場建設の取り組み 岩手県陸前高田市 1.早急な代替施設での生産開始による販路維持 2.震災を契機にしたニーズに対応した新工場建設 3.魚に関するノウハウをベースとし、小売・卸と連携した新商品開発による差別化 株式会社武蔵野フーズ 1989年設立、従業員数48人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 陸前高田市の㈱武蔵野フーズは、東京の海産物会社に勤務していた武蔵野和三社長が、各種寿司ネタ加工業「東北築地水産」として、1989年に個人創業した。1991年、株式会社化し、現在に至っている。その後、スーパー、回転寿司向け寿司ネタ加工により順調に業容を拡大し、東京営業所、大阪営業所設置、工場、冷蔵庫新増設する等してきたが、震災で本社事業所及び本社工場が壊滅した。 '2(バックグランド'背景( 創業当時は、国内で海外からの輸入品を原料にスーパー、回転寿司向けに寿司ネタの加工を行っていた。その後、業界内で韓国、中国、タイ等での海外生産がすすみ、従来のような国内生産が困難になったため、海外製品との差別化を図るため、国内産原料に着目し、気仙沼、塩釜等の三陸産や日本海産の製品も製造するようになった。 '3(チャレンジ'挑戦( 今回の震災で、陸前高田の当社工場は全壊した。被災直後の3月20日には従業員が集まり、その多くが再開を希望したため、工場再開を決定した。工場再開には、商品供給を継続し、販路を維持することが不可欠である。そこで新工場建設までの間、代替生産できる空き工場を全国くまなく探し、まずは1年契約で青森の工場を借りて、3月20日から、たこ、いか、ほたての加工を開始した。また、北海道札幌市で民事再生となったパン粉工場を見つけ、4月17日に売買契約を交わし、6月27日から稼働させた。札幌工場には陸前高田から7名の従業員を移水産物加工業内での差別化課題課題への対応販路維持の必要性新たな差別化業界の競争激化の対応海外生産物との競合本格生産再開の必要性新工場の性格付けの必要性国内の需要減尐の対応競合の尐ない寿司ネタ加工業界に参入青森工場の一年契約による稼働小売・卸と連携した新商品開発代替生産する空き工場検討大ロットコンビニ向け商品拠点ロシア企業との連携、輸出向新商品開発国内原料による差別化札幌工場での新分野進出'煮物焼物、揚げ物(展望本格実施準備構想・計画3.11当社商品の寿司ネタ

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です