被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
74/146

61 試作品として開発された 「ハーブ干物」 事例1-2 岩手大学と開発~ハーブで三陸の海の幸の旨さ、そのままに~ 岩手県久慈市 1.「安心・安全で魚本来の味を活かした商品づくり」というブレない価値基準 2.岩手大学との連携による水産加工品の高付加価値化に挑戦 有限会社北三陸天然市場 1998年設立、従業員数8人'2014年2月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 久慈市の㈲北三陸天然市場は、通販によって久慈地域の特産品を販売する会社として設立されたが、1991年には産地直売店として店舗を構え、北三陸・久慈地域の魚介類および加工品の製造販売事業を本格的にスタートさせた。「素材の美味しさをそのまま消費者に提供できる商品づくり」を大事する姿勢は、岩手県内の特産品コンクールにおける「岩手県知事賞」等の受賞に繋がっている。岩手県は三陸沖の豊かな漁場を有し、サバ、サンマ、サケ、スルメイカなどが豊富に漁獲され、鮮魚あるいは加工用原料として出荷されてきたが、隣県の宮城県には東北地方を代表する有力な水産加工地域があるため、岩手県内で高付加価値型加工はあまり行われてこなかった。そのような地域性を有する岩手県内において、当社は加工品の高付加価値化に積極的に取り組む、数尐ない会社である。 '2(バックグランド'背景( 当社店舗は津波の直接的な被害を免れたものの、沿岸部の冷蔵庫が流出、あわびや海藻等の原料1年分を失った。風評被害による売上の減尐と原料高騰によるコストアップに直面し、盛岡市に構えていた2店舗を閉鎖せざるを得なかった。しかし、当社の小笠原ひとみ社長は、「三陸産の美味しい水産物を消費者に安定して供給するためには、水産物・水産加工品を低コストで高い付加価値を付けることが不可欠」とし、新規事業として震災前から着手していた魚介乾製品(一夜干しの干物)の新規事業を本格的に展開させていく。 '3(チャレンジ'挑戦( 新事業において大切にしたのは「安心・安全で魚本来の味を活かした商品づくり」。そこで、①魚の生臭さを抑高付加価値化品質・保全性の向上を重要視課題課題への対応岩手大学と新加工法を共同開発対面販売生産効率の向上を重要視品質・保全性の向上生産効率の向上商品化販売価格の設定助成金活用による乾燥機の導入冷風乾燥低温低湿乾燥法の導入展望本格実施準備構想・計画3.11ハーブ等による前処理液を開発

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です