被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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43 当社の外観 事例2-10 国内トップシェア!プロ用マリンスポーツウェアで石巻を元気に! 宮城県石巻市 1.プロダクトイノベーション'ブランド戦略に基づいた商品の多角化( 2.プロセスイノベーション'採寸・型紙設計技術の研究開発( 3.公的機関や行政の支援制度を活用した海外販路開拓 モビーディック株式会社 1975年設立'1963年創業(、従業員数86人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 石巻市のモビーディック㈱は、マリンスポーツウェアの製造販売事業を営んでいる。設立は1975年(創業は1963年)、年間売上額は12億円で国内最大手のウエットスーツメーカーである。震災による津波で自社の倉庫と協力会社の工場が流されたが、経産省のグループ補助金制度を活用して復旧し、現在はアジア、・ロシアへの販路拡大を狙う。 '2(バックグランド'背景( 国内マリンレジャー市場は2001年を ピークに減尐し続けている。日本ウェットスーツ工業会の販売額データによれば、2001年に70億円であった市場規模は2012年には40億円まで縮小している。当社は市場におけるシェアこそ伸びているものの、売上そのものが減尐しているため、生き残りを掛けて多角化、販路開拓をする必要に迫られている。このため、2006年には海外ダイビング機材メーカー「MARESマレス」の輸入代理店に、2007年にはサーフィンスーツの海外ブランド「ONEILLオニール」のライセンス生産・販売を開始している。 東日本大震災では、自社の倉庫と協力会社2社の工場が津波で流されたが、本社工場の被害は軽微であったために、被災直後から自衛隊や警察向けの官公品の生産を再開している。 保田社長は地域の復興のために雇用を守ることを優先し、被災した協力工場の従業員を契約社員として雇用して本社工場で工程を割り当てた。また、切れ端材を利用したアクセサリーがデザイン会社からの持ち込み企画で実現したインターネットでの震災復興支援キャンペーンで注目され、ネットショップでの販売額が伸びた。こうした商品は自宅で作業が可能だったため、仮設住宅の住民の方にも協力をいただいて、順調に注文をこなしていった。 実店舗ではリピーター客からの購入支援もあり、ウェットスーツの受注状況の落ち込みも尐なかった。2012年8展望本格実施マリンスポーツ市場の低迷商品多角化ブランド化の企画立案海外企業との提携Onielのライセンス生産コアコンピタンスの強化解剖学的動体裁断技術'A.C.T.)デザイン性強化ブランド展開スポーツフィッシング'Reath(採寸・設計技術の研究開発産業総合研究開発機構'AIST(との共同研究海外販路展開上海にアンテナショップ開設ロシアへの販路拡大MARESとの販売提携オーダーメイド技術アクセサリー'CHOS(復興支援・端材利用'EcoFriendly(次の50年年商1000億円企業成長と雇用行政や協力企業との連携課題課題への対応準備構想・計画3.11

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