被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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39 事例1-16 同業他社と手を組み共同受注に挑戦~造船業の新しいモデルへ~ 岩手県大船渡市 1.いち早く再建に取り組み、地元水産業の復興に貢献 2.造船・修理に関わるノウハウ伝承と人材育成に取り組む 3.競合他社と連携し、新規需要の創造に挑む 株式会社互洋大船渡マリーナ 1972年設立、従業員数28人'2013年11月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 大船渡市の㈱互洋大船渡マリーナは、中小型漁船製造において国内トップシェアを有するヤマハ発動機㈱の特約店として地元漁業関係者の間で高い知名度を誇る、中小型漁船等の製造・販売業者である。当社は、漁業関係者の要望に応じた漁船(ヤマハ製)のカスタマイズ(艤装)やメンテナンス(修理)に技術的な強みを有し、大船渡地域で独自のポジションを築いてきた。震災後は、地元漁業者の需要に応え、約500艘を修理し、約500艘を新規に建造したほか、 約1000艘の数に及ぶ艤装を手掛けた。 '2(バックグランド'背景( 当社は、沿岸部に位置していたことから津波により工場、倉庫、商品(エンジン、漁船等)等、全ての資産を流失。しかし、地元漁業者の漁船建造・修理の需要に素早く対応するためいち早くがれき処理に着手。2ヶ月後の2011年5月には船の修理から営業を再開させ、10月には新造船の建造も再開させた。この間、従業員を新たに雇用し、震災前の11名から28名に拡大させている。工場や設備の復旧は古くから付き合いがあった日本財団の「東日本大震災・被災造船関連事業者再生支援プロジェクト(支援規模:約1億3000万円)」と経済産業省の「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(グループ補助金)」を活用し、2012年春には全面復旧にこぎ着けた。また、2013年5月には、地元経済の中核たる水産業の復興に重要な役割を果たしていると評価され、岩手銀行と日本政策投資銀行が共同出資する「岩手元気いっぱい投資事業有限責任組合(通称:東日本大震災復興事業再建いち早く営業を再開気仙地域のなりわい再生課題課題への対応組合設立熟練者からの指導に若手の人材育成事業計画の作成安定的な仕事量の確保建造・修理の復興需要への対応早期に経験者を採用多方面の支援の活用メンテナンス需要に対応できる体制作り競合他社との連携強化資材の共同購入等によるコスト削減・効率化大型船の共同受注の必要性を認識展望本格実施準備構想・計画3.11新規需要の創造新たに整備された桟橋

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