被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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33 事例2-7 被災地支援活動における共感をうまくビジネスにつなげた 「髙政らしさ」というDNA 宮城県女川町 1.女川町に根差す企業として、地域と地域の人を大切にするという規範 2.「三陸らしさ、女川らしさ、髙政らしさ」というコンセプトにこだわった商品開発 株式会社髙政 1937年設立創立、従業員数130人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 女川町の㈱髙政は、笹かまぼこ等の魚肉練り製品の製造・販売を行う企業である。当社は女川町に根差す企業として、地域を大切にするという当社の規範の下、「三陸らしさ」「女川らしさ」にこだわり、地域の味覚である魚の味を再現するという当社のオリジナリティである「髙政らしさ」を重視している。その結果、当社商品は独自のブランドを確立するとともに、震災時における被災者支援の取り組みと相まって、顧客から高い支持を得ている。 '2(バックグランド'背景( 当社は、1994年にそれまでの魚すり身製造から魚肉練り製品分野へ参入した。その背景について、当社の高橋正壽専務は「原材料の魚すり身の提供だけでは利益が出せず、生き残りは難しかった。このため、商品に付加価値を与えられる魚肉練り製品への進出を目指した」と振り返る。当社においては、高橋正典社長と高橋専務が製造と販売の役割を分担している。職人肌の高橋社長が高品質の商品づくりを手掛け、百貨店出身の高橋専務が前職の経験や人脈を活かして商品企画面や販売面を支えるというように、両者が力を合わせて笹かまぼこをはじめとする魚練り製品の開発とブランド形成に取り組んだ。 ブランド形成に向けては、商品コンセプトとして「三陸らしさ、女川らしさ、髙政らしさ」を明確にし、その維持を心がけた。例えば、「三陸らしさ、女川らしさ」については、看板商品の笹かまぼこ「吉きち次じ」の材料に地元三陸沖のキンキを材料に用い、「髙政らしさ」については、素材である魚の旨味を失わないよう、通常3回行う水晒し工程を当社独自の技術により1~2回に抑えるといった具合である。また、素材毎に焼き方や塩加減を変えるなどの工夫を重ねることで、魚の持つ天然由来の旨味を活かした商品を生みだしている。こういったコンセプトに裏打ちされた魚肉練り製品への参入地元や魚本来の味にこだわった商品開発地域活性化商品無償配布により被災者を支援新工場建設通販を中心に需要増従業員の雇用確保事業再開新工場に物販店舗併設地域の震災被害観光との連携自社ブランドの構築百貨店への出店による高級感量販店向けブランド立ち上げによる事業安定展望本格実施準備構想・計画3.11課題課題への対応 当社の笹かまぼこ

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