被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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31 事例1-6 バス事業の再生と被災地観光~利用者視点に立ったサービス改善~ 岩手県盛岡市 1.地方バス事業者としての利用者ニーズの視点にたったマーケティング 2.交流人口増加を目指した着地型観光の取り組み 岩手県北自動車株式会社 2014年設立、従業員数364人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 盛岡市の岩手県北自動車㈱は、岩手県北エリアを中心にバス路線網をもち、グループ全体では遊覧船事業、旅行事業、サービスエリア事業、ホテル事業等を営んでいる。当社は、ハンズオン型コンサルティング会社の「経営共創基盤」がバス会社の広域連携と事業の成長を実現するために設立された「みちのりホールディングス」の100%子会社として2010年4月に新たなスタートをきっている。 '2(バックグランド'背景( 被災後、当社は宮古市、山田町、岩泉市で国土交通省の「地域公共交通確保維持改善事業(特定被災地域公共交通調査事業)」により仮設住宅と主要施設を結ぶバス路線を運行し、今年で3年目になる。宮古市、山田町等行政とはワーキンググループをつくって検討し、利用者の利便性が向上するような対応を心がけている。具体的には、バス運行は目的別(通学、役場、買い物、病院)で時間に配慮して運行し、利便性については仮設住宅の住民へのアンケート等を踏まえ対応している。この結果、仮設住宅と主要施設(病院、学校等)を結んだ路線は利用者が増加しており、ニーズを的確にとらえきめ細かな施策を実施することで利用者が増えることが実証された。 人口減尐の下、地方バス事業者にとっては交流人口を増やすのが課題である。当社は観光について、もともとアウトバウンド中心に対応を図ってきたが、震災前からインバウンドの取組を強化しており、韓国からのスキー客輸送(花巻空港→安比スキー場)を手始めに、現在は岩手県往訪の需要が見込める台湾、香港のインバウンドに力を入れている。チャーター便の客輸送からはじめ、地域をよく知る地元バス事業者として、全国的な旅行会社ではわからない地域の魅力を伝える観光メニューを提案し、台湾については高校の教育旅行誘致に着眼してJTB台湾との連携を考える等、いま必要とされる着地型観光の取り組みを考えている。また、タイにも力を入れており、人口減尐・車社会による利用者減尐マーケティング不足交流人口不足インバウンド、被災地観光の取り組み着地型観光の取り組み最適な公共交通体系構想自治体との連携顧客アンケート実施街の形を踏まえた路線検討実証実験地域協議会立ち上げ被災地観光メニュー開発プラットフォーム立ち上げインバウンド観光メニュー開発展望本格実施準備構想・計画3.11課題課題への対応仮設住宅を結ぶバス

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