被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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23 事例3-3 福島から食の「やさしさ」と「豊かさ」を送り届ける! 福島県福島市 1.震災後いち早く放射線検出器を導入。自社で放射線検査を実施し、外部の検査と照合 2.品質管理の徹底化と顧客への丁寧な説明で風評被害に立ち向かう トーニチ株式会社 1962年設立、従業員数79人'2013年2月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 福島市のトーニチ㈱は、東北産のフルーツを使用した学校給食などの業務用デザートを製造している食品メーカーである。国産原料のみを使用した商品は全国の顧客から高い評価を得ていた。震災では工場内の自動倉庫が故障したが、20日間で修繕して4月半ばには全ラインが稼働可能に戻った。 ところが、福島第一原子力発電所の事故によって放射線への恐怖が消費者に伝搬すると、関東以北の原料を使用した製品は一時シャットアウトされ、工場が福島にあるというだけで商品の取り扱いが断られることもあった。当社の社是は食の「やさしさ」(安全・安心)と「豊かさ」(食事の楽しさ)を送り届けることである。当社は、この社是を実行に移すため、風評被害の払拭と事業の継続に向けた様々な取組を震災直後から始めることになる。 '2(バックグランド'背景( 当社は、アイス、ゼリー等の冷凍デザート類の製造・販売事業者であり、地元東北産の果物を含んだゼリー・コンポート等を学校給食、外食産業、介護・医療施設向けに自社ブランド品として販売しているほか、大手氷菓(アイス類)メーカー等からのOEMも手掛けている。また、学校給食の定番商品として確固たる地位を確立するほか、近年は、冷凍デザート類専業メーカーとしての蓄積を生かした「美味しさ」に加えて、アレルギー対応ゼリー等、消費者ニーズを的確に捉えた付加価値の高い商品も手掛けてきた。また、国展望本格実施「安全・安心」への取組発災直後の対応自動倉庫の修理営業力の強化医療・介護分野の販売員増強風評被害対策ロット毎に毎日抜き取り検査ISO22000取得水道水の放射線測定新商品開発福島県の食品産業の復活データ取得の徹底新しい農業課題課題への対応準備構想・計画3.11アレルギー対応ゼリーの開発全製品の放射線測定検査機器導入データ取得と顧客への説明当社工場の外観 当社のゼリー商品

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