被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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129 事例3-14 国内拠点のマザー工場化で生き残りを図る! 福島県富岡町 1.事業の源泉である従業員の雇用確保 2.新卒採用を積極的に行うとともに、ベテランから若手へ技術伝承を進める 3.国内拠点のマザー工場化 フジモールド工業株式会社 1974年設立、従業員数97人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 富岡町にあったフジモールド工業㈱(現在は相馬市に所在)は、デジタルカメラ向けをはじめとする精密プラスチック部品の成型加工及び同金型設計・製作を手掛ける企業である。当社は、コア技術である精密プラスチック成型加工技術によって、アルミダイキャスト製が主流だったデジタルカメラレンズの鏡筒部品(ズーム部分)を、世界で初めてプラスチックで製造することに成功し、デジタルカメラの小型化・軽量化に貢献している。近年は製造・販売のグローバル化が進む顧客のニーズに対応し、日本以外にベトナム、インド、フィリピンに製造拠点を展開している。 '2(バックグランド'背景( 当社は国内拠点として富岡町の本社工場の他、金型製造子会社である相馬郡新地町の協伸工業㈱、小型精密プラスチック成形子会社である宮城県山元町の㈱サンテックの3拠点を有していた。震災発生によって、本社工場は原発事故の影響で警戒区域に指定され立入できなくなり、サンテックは津波により壊滅するなど、2拠点が操業不能に陥った。こうした中、当社は唯一残った協伸工業を拠点とした事業継続を早期の段階で決めた。その理由について、当社の岡田英征専務は「従業員は当社にとって家族かつ宝である。従業員の雇用を最優先し、その維持のためにも地元を離れることは考えられなかった」と語る。当社は海外にも製造拠点を有しており、本社機能を含め全てを海外に移転するという選択肢もあった。しかし、移転によって地元で当社を支えていた従業員の多くが離職することとなり、事業の源泉である技術力の流出も懸念された。加えて、早期に事業継続を判断することにより顧客の不安を解消し、取引を維持する狙いもあった。 展望本格実施準備構想・計画課題課題への対応3.11被災地での事業継続新規採用コア技術の伝承生産体制復旧当社製品に対する風評雇用と技術力の維持金型搬出、海外拠点等に対する技術指導等顧客との取引継続ベテランに対する課題設定ベテラン・若手間の技術伝承国内拠点のマザー工場化企業と自治体との連携福島県制度活用等による新工場取得 当社製品'鏡筒部品(

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