被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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128 '3(チャレンジ'挑戦( 震災発生後、郡山のFSGカレッジリーグの校舎被害が大きく、学校運営機能が麻痺した。このため、新年度のスタートを延期し、各方面と連絡している中、学生から「なにかできることはないか」と声が上がり、復興のための活動を行うACTIONプロジェクトが発足した。学生主体の取り組みは、避難施設でのハンドマッサージ等の各種ボランティア活動、県内外復興イベントでのボランティア、仮設住宅訪問、募金等の活動である。 震災後、日々の教職員ミーティングでは、FSGカレッジリーグとして福島復興のためにできることが議論された。ここで、今までの当グループの社員提案と起業化支援の仕組みが生かされ、新学科設立の企画や起業化のアイデアが生まれた。その後、事業計画、スキーム等が検討され、専門教育関連の取り組みは学校法人で、ビジネスベースで実施できるものは株式会社で、全世代を対象とした多様な教育活動を必要とする事業は、一般社団法人で行うこととなった。なお、事業実施者は、社内公募の他、一般公募で決めている。 学校法人としての取り組みは、復興のために地域で必要とされる人材育成を行うための学科新設等である。具体的には、放射線取扱主任者、介護福祉士の養成学科、風評対策を目的とした地元産食材利用、被災ペット対応等のニーズに対応する新学科、多様な目標を持つ生徒に対応するための通信過程のある高等部を新設した。一般社団法人、株式会社での取り組みは、福島復興のために新たな事業を創造することで、雇用の創出、経済活動の活性化、地域文化の向上を目指している。主な取り組みとしては、学校の旧グラウンドを利用した太陽光発電の実施、スポーツを通して福島県を活性化させるためのプロバスケットチームBJリーグのチーム「福島ファイヤーボンズ」の設立、環境エネルギー分野の研究・提言活動、福島発信のエンタテイメント文化事業の取り組みとしてのコンサート・イベントプロデュース、生涯学習、国際化、子供、就職キャリア支援等の取り組みである。 以上のとおり、当グループでは、「復興には、漠然とした理想でなく、具体的ビジョンが必要である。そして、行政等への単なるお願いでなく、自分たちがいつまでに何をどうするか考え、実行する一歩を踏み出すことが必要である」と考え、復興に必要とされる様々なニーズに対応するべく新しいアイデアを考え、実行スキームを作り、事業実施者を募って実行に移している。 '4(エッセンス'大切なこと( FSGカレッジリーグの取り組み対応主体内容1.学校法人の対応①復興のために地域で必要とされる人材育成のための学科新設  専門学校国際情報工科大学校の放射線科・エネルギー工学科設置、国際メディカルテクノロジー専門学校の介護福祉科設置、国際ビューティファッション専門学校でのパティシエ科設置、国際アート&デザイン電門学校でのペットグルーマー科設置②文部科学省等公的委託事業、キャリア推進、就職支援、Fターンガイダンス、企業社員研修2.一般社団法人、株式会社での対応①スポーツプロスポーツチーム運営、子供の健康増進'福島スポーツエンタテイメント㈱、一般社団法人福島スポーツアカデミー)②生涯学習各種職業講座運営'一般社団法人生涯学習アカデミア(③国際化海外でのイベント開催、外国人との交流活動'海外ファッションショー等(④医療福祉地域密着型介護の推進、スポーツと連携した医療福祉⑤子供支援小中学生の職業体験'専門学校5校の施設、人材を利用したお仕事体験、再生エネルギー学習(⑥エンタメコンサート、イベント等のプロデュース、楽曲、映像等の企画制作等による福島発エンタメ事業'一般社団法人Wasabi Entertainment(⑦環境対策環境保全等人材育成、再生エネルギー啓蒙活動'一般社団法人福島環境総合研究所)⑧エネルギー新エネルギー活用研究、太陽光発電事業'一般社団法人福島新エネルギー総合研究所、新電力福島㈱(当グループの取り組みは、教育活動を中心とした①新規事業、起業の提案制度、サポートの仕組み、実施者公募の仕組みの存在、②職員提案をベースにした産業人材育成プログラムの設置、③職員の提案をベースにした復興ニーズに対応した起業、法人の設立と運営に特徴がある。特に、震災時に、新規事業、起業の提案制度、サポートの仕組み、実施者公募の仕組みを活かして、職員の提案をもとに、震災対応の産業人材育成プログラムの設置、復興ニーズに対応した起業、法人の設立と運営を行っている点が特筆される。

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