被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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115 事例2-14 ITで業務を効率化~短納期で顧客の心をつかむものづくり~ 宮城県仙台市 1.産業支援機関の専門家派遣制度活用によるITシステムの構築 2.単なる商品の提供に止まらない、顧客への価値の提供 株式会社十一屋ボルト 1957年創立、従業員数14人'2013年3月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 仙台市の㈱十一屋ボルトは、1957年に自動車用ボルトの卸売専門店として創業した。創業以降は、経済の発展にともない多様化する顧客のニーズに合わせながら徐々に対応業種や取扱商品を増やしていった。現在では公共工事等の土木建築向け、水道・ガス・鉄道等のインフラ向け、自動車・半導体等の機械製造向けなど、 13,000種に及ぶ各種のねじ・ボルトを取り扱っているほか、顧客からの注文に応じ特注品ボルトの製作も行っている。また、個人など小口の顧客向けにも本社の1階でねじ・ボルトや機械工具等を販売している。 1990年代から情報通信技術の技術革新が進み、業務プロセスの改善を主な目的として多くの企業でIT導入が図られた。しかし、現在においてもなお、当社のような小規模な企業におけるIT導入は依然としてバックエンド(データ処理等)での基本的なOAソフト(Excel等)や簡易パッケージソフトが導入されているといった状況にある。そのような状況において、当社は2000年代からIT導入とその高度化に力を入れ、業務プロセスの改革を進めた会社である。当社は中小企業IT経営力大賞2013「IT経営実践企業」に認定されている。 '2(バックグランド'背景( 当社は2002年からホームページ(HP)を開設し、製品・技術情報の提供や顧客からの注文受付などをインターネット上で行っていたが、本格的なITシステム導入は、大手製造業との取引開始(2008年6月)が契機となった。 通常、大手企業と取引を行う上では供給能力が求められ、供給能力が乏しい中小企業にとっては大手企業との取引開始を実現する上での大きな課題の一つであった。当社も例外ではなく、業務処理能力の限界を超える、これまでに経験したことのない発注量に加え、多品種尐量・短納期にも対応する必要があった。当社の佐藤兹紹社長は、「ここであきらめたら、大手から仕事は来ない」と考え、システム開発による打開策を模索した。ただし、当社内にITの専門家はおらず対応に苦慮したため、従大手企業との取引開始バーコード検収、仕入発注管理システム開発手作業での対応さらなる業務合理化発注量増加・取引停止ボルト図面紛失・散逸専門家助言インターネットでの認知向上など商圏の拡大図面見積管理システム開発専門家助言ホームページ立ち上げ専門家助言見積回答システム開発専門家助言展望本格実施準備構想・計画3.11課題課題への対応当社で扱うねじ・ボルト

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