被災地での55の挑戦 ―企業による復興事業事例集―
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111 事例1-18 震災を契機に資産効率を重視した営業スタイルへの転換! 岩手県大船渡市 1.設備能力を縮小させて事業を再建 2.設備回転率の向上による資産効率を重視した経営スタイル 3.適正な在庫管理と在庫圧縮を可能にする営業活動のシナジー 山岸冷蔵株式会社 1952年創立、従業員数20人'2013年12月末現在( 事例の概要 '1(プロフィール'概要( 大船渡市の山岸冷蔵㈱は、市場から鮮魚を加工原料として購入・冷凍し、卸売商等に販売する会社である。1952年にサンマを中心とした水産物の加工業者として創業した後、1971年に冷蔵倉庫を取得し冷蔵冷凍業務に参入。サンマをメインにイサダ等の魚種を取り扱ってきた。年商は約5億円。当社は、岩手県一の漁獲高を誇る大船渡市において、地域経済の中軸を担う水産加工や物流会社など12社によって構成される「大船渡湾冷グループ」のメンバー会社である。 '2(バックグランド'背景( 当社は津波で壊滅的な被害を受けた。建物、在庫が全て流出し、被害総額は在庫分で約2億円、建物分で約2億3000万円相当に及んだ。壊滅的な被害を受けながらも、経済産業省の「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(第1次グループ補助金)」及び「被災中小企業・施設整備支援事業(高度化スキームによる貸付制度)」により2011年9月には最低限の設備を復旧し操業を再開。復旧を急いだのはサンマの漁期である9月に何とか操業を間に合わせたったからだ。震災前の当社の設備能力は凍結庫90トン、冷凍保管庫2600トンであったが、事業再開時は凍結庫20トン、冷凍保管庫1000トンで設備能力は大幅に縮小した。その後、2012年9月に第3次のグループ補助金を活用し、凍結庫60トン、冷凍保管庫1600トンにまで設備能力を回復させたが、設備能力は震災前の3/4にあえてとどめた。当社の菅原尚久社長は「当時の浜の状況も先行きが見えない状態であったため、最初からリスクを冒さず、状況を見ながら必要に応じて拡大させていくことが賢明と判断した」と振り返る。展望本格実施収益力の向上設備回転率の向上必要最低限の設備のみ復旧在庫圧縮小ロット販売安定的な原料調達の必要性を認識簡単な加工業務の実施課題課題への対応準備構想・計画3.11資金管理の効率性を重視した販売取り扱い魚種を増加設備稼働率の向上の必要性を認識販売先の購入意向を事前に確認海外展開早期の事業再開設備能力の縮小販路開拓当社新工場の外観

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