復興の教訓・ノウハウ集

復興の教訓・ノウハウ集

災害からの復旧・復興過程で生じる課題に対し、東日本大震災における状況とこれに応じた官民の取組事例、専門的知見も踏まえた教訓・ノウハウを記載しています。(令和3年3月公表)

8-1)

応急仮設住宅等における見守り

事例名 福島県相双保健福祉事務所いわき出張所における避難者の健康支援と被災市町村支援
場所 福島県いわき市
取組時期 応急期復旧期復興前期復興後期
取組主体 福島県相双保健福祉事務所いわき出張所

取組概要

 福島県では、いわき市内に県保健福祉事務所の出張所を設置し、被災市町村からの避難者に対する健康支援や被災市町村の保健事業等への支援を実施するとともに、避難者支援に係る県、避難元及び避難先市町村、支援関係機関間の調整を行っている。

具体的内容

福島県相双保健福祉事務所いわき出張所の開設

 福島県いわき市には、福島県沿岸の相双地域等から多くの住民が避難し、双葉郡町村の市内への応急仮設住宅の建設や賃貸型応急住宅への入居開始に伴い、2011年7月には約14,000人、11月には約18,000人、12月には約22,000人と避難者が急増した。福島県相双保健福祉事務所では、管内の南相馬市、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村等における役場機能の分散・移転や、管内住民のいわき市への避難を受け、2012年6月にいわき市内にいわき出張所を開設した。出張所には、県の保健師や事務職のほか、臨時採用等の看護職や管理栄養士等が配置され、避難者の健康支援や被災市町村の業務支援を行っている。

いわき市における保健福祉行政事務の枠組み

 避難者に対する保健福祉行政事務は、1)避難元市町村が自ら提供する事務、2)原発避難者特例法に基づきいわき市が提供する事務、3)いわき出張所が市町村支援として行う事務、4)県庁各課・相双保健福祉事務所が市町村支援として行う事務、5)その他保健福祉事務所の本来業務として実施する事務の5つに大別され、被災市町村の実情に応じて、各機関が業務を分担・協力しながら乳幼児健康診査や予防接種、介護保険事務等を実施する体制を整えた。

いわき出張所における活動例

1) 応急仮設住宅等の戸別訪問
避難元市町村からの依頼に応じて、建設型応急住宅、賃貸型応急住宅、復興公営住宅及び自宅の戸別訪問による避難者の健康調査や継続支援を実施。

2) 市町村等が主催する交流サロンや健康教室の支援
避難者を対象とした交流サロンや健康教室へ専門職職員を派遣し、健康相談、体操、講話などを実施。

3) 母子保健事業の実施、協力
・乳幼児の適切な支援に結びつけるため、避難先の乳幼児健康診査に保健師を派遣。 ・避難元市町村と共同で、乳幼児健康診査の事後フォローである発達の遅れやその疑いのある幼児を対象とした「あそびの教室」及び「幼児健康相談会」を実施。
4) 避難元市町村の保健事業への協力
・避難元市町村が実施する総合健診、健診結果説明会に保健師や管理栄養士を派遣。 ・避難元市町村からの依頼に応じ特定保健指導を実施。
5) 生活支援相談員等支援者への支援
心のケアセンターと連携し、生活支援相談員や被災者支援に携わる民生委員等に対して、グループミーティング等を通じた悩みごとや困りごとの相談、見守りや相談業務への助言、支援者自身のセルフケアや自殺予防に関する研修等を実施。

6) 市町村等との連携調整
避難者に対する効果的な健康支援活動の実施に向けて、避難元市町村、避難先市町村、心のケアセンター等支援関係機関、県庁等との連絡調整に係る会議を開催。

<出典>(他の事例集等への掲載)
・福島県保健福祉部健康増進課「東日本大震災後の保健活動と被災市町村への支援について 厚生労働省平成30年度保健師中央会議資料」(2018年7月)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000174319_00002.html

・福島県相双保健福祉事務所「東日本大震災における活動の記録誌」(2014年3月)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/21160a/2603kirokushi.html

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