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被災した子どもへの就学・学習支援
事例名 | うつくしまふくしま子ども未来応援プロジェクト |
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場所 | 福島県 |
取組時期 | 応急期復旧期復興前期復興後期 |
取組主体 | 特定非営利活動法人ビーンズふくしま |
取組概要
特定非営利活動法人ビーンズふくしまは、不登校の子どもや引きこもりの青少年のために、生き方や学習を支援することを目的に、1999年にフリースクールから活動を開始した。
東日本大震災発災後はそのノウハウを活かして、「うつくしまふくしま子ども未来応援プロジェクト」を立ち上げ、応急仮設住宅での子どもの居場所づくりや学習支援、親子の心のケア、県外避難者親子の支援などに注力し、これまでの学習・体験に加え「遊び」を通した「心のケア」という視点も踏まえながら、持続可能な支援を目指した活動を行っている。
具体的内容
東日本大震災による子どもの生活環境の変化
東日本大震災や原発事故の影響によって、福島の子どもたちは住み慣れた地域を離れ、転校を余儀なくされ、友達とも離れ離れになる中で、子どもたちのストレスは大きく、不登校・ひきこもり・(気持ちの)荒れなどの問題の顕在化やメンタルヘルス面での影響が見られた。

※「うつくしまふくしま子ども未来応援プロジェクト平成24年度中間報告」より抜粋
子どもの心のケア(学びや遊びの支援)
学校だけでなく、家庭や地域からの長期的視野を持った支援を行うため、ビーンズふくしまは、トヨタ財団、パナソニック教育財団等の協力を得て、2011年9月に「うつくしまふくしま子ども未来応援プロジェクト」をスタートさせた。被災した子どもたちに寄り添うため、県北・県中地域に子ども支援センター・子ども地域生活支援コーディネーターを配置し、市民、学生、専門機関などと協力しながら、下記の事業を展開した。

※「うつくしまふくしま子ども未来応援プロジェクト平成24年度中間報告」より抜粋
〇県北地域の活動:小中学生対象の「放課後学習支援(寺子屋)」事業
子どもたちの放課後の学習支援や居場所づくりとして、県北地域の応急仮設住宅3ヵ所(福島市2ヵ所、二本松市1ヵ所)で、「放課後学習支援」が実施された。専従スタッフやボランティアが、子どもたちが楽しめる色々な行事やレクリエーションを企画し、学力を伸ばすというよりは、子どもに寄り添い、学ぶ習慣を身に付けて、知る楽しみを味わってもらうことに主眼が置かれている。
〇県中地域の活動:小中学生向けの体験学習「こども広場」
県中地域の応急仮設住宅4ヵ所(郡山市2ヵ所、三春町2ヵ所)で、子どもたちが日常の様々なストレスから解放され、安心して過ごせる居場所として「こども広場」が実施された。料理や工作等の体験のほか、季節行事や稲作などのイベントを通して、親同士の交流や地域教育もなされた。
これらの活動を通じて、福島県内の県北・県中地域の応急仮設住宅や復興公営住宅で生活する子どもたちへ「遊びや学びの機会の提供」をすることで、恒常的な支援を行うとともに、父母・地域住民も参画した「子どもを軸にしたコミュニティの再生」の仕組みづくりも行われた。
別事業や協力団体への移管によるサポートの継続
子どもたちの多くが学区内の学校に通うようになり、それと同時に地域の子どもの参加も増え、復興支援事業としての意味合いが薄れてきたため、「うつくしまふくしま子ども未来応援プロジェクト」は2019年度に終了した。引き続き支援が必要な世帯の子どもへは、よりピンポイントなアプローチが有効的であると考え、現在は、当法人が運営している「ふくしま子ども支援センター」や、「復興交流拠点みんなの家セカンドプログラム」といった事業へ移管している。
「ふくしま子ども支援センター」は、東日本大震災により被災した子どもの心のケアに関わって、福島県内及び県外へ避難している被災児童・保護者等への専門的支援を継続的かつ安定的に行うことを目的として設置された。発足当初は、「東日本大震災中央子ども支援センター 福島窓口」として運営していたが、支援スキームの変更に伴い、2014年4月より「ふくしま子ども支援センター」と名称を変更した。特定非営利活動法人ビーンズふくしまが福島県より委託を受けて、児童の状況把握や支援ニーズのとりまとめ、被災した子どもおよび子育て家庭の支援に関する情報の収集および情報発信、被災児童、保護者及び支援者等への各種支援事業を行っている。
「復興交流拠点みんなの家セカンドプログラム」は、避難してきた・避難先から戻ってきた親子が気軽に集える場として、悩みや不安を共有できる様々なイベントを開催している。
・特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン、特定非営利活動法人ビーンズふくしま「ふくしまの子どもたちとともに」(2018年3月)
https://www.worldvision.jp/news/item_img/works/web%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1.pdf
・CANPAN「平成27年度ビーンズふくしまの活動紹介」(2015年)
http://fields.canpan.info/data/organizations/161/161454/1614547402/files/PjTNKBdk.pdf
・特定非営利活動法人法人 ビーンズふくしま「うつくしまふくしま子ども未来応援プロジェクト 2019年度の活動報告」
・2011年度 トヨタ財団助成(県北地区・県中地区)
・2012年度 トヨタ財団助成・パナソニック教育財団助成(県北地区・県中地区)
・2013年度 トヨタ財団・パナソニック教育財団助成(県北地区)、福祉医療機構助成
・2014年度 セーブ・ザ・チルドレン 助成、設住宅の子どもの環境づくり業務委託(福島県:被災者支援総合交付金)
・2015年度 セーブ・ザ・チルドレン助成、仮設住宅の子どもの環境づくり業務委託
・2016年度 仮設住宅の子どもの環境づくり業務委託、年賀寄付金助成、緊急スクールカウンセラー事業(浪江町委託)
・2017年度 仮設住宅の子どもの環境づくり業務委託、年賀寄付金助成
・2018年度 年賀寄付金助成、寄付金
・2019年度 中日新聞社会事業団助成、寄付金、地域で育てる子育て応援事業補助金(福島県)、心の復興事業(復興庁)
・2011年度~2017年度までは年間1200万~1500万
・2018年・2019年は約400~500万程度