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被災した子どもへの就学・学習支援
事例名 | NPO法人キッズドア:南三陸町学習支援 |
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場所 | 宮城県南三陸町 |
取組時期 | 応急期復旧期復興前期復興後期 |
取組主体 | NPO法人キッズドア |
取組概要
NPO法人キッズドアは、震災後早期から南三陸町で子どもたちの遊び・学習の支援を開始し、地方公共団体や教育機関との協働の下、地域・学校の復興過程に寄り添い、中長期的な支援活動を展開している。
具体的内容
NPO法人キッズドアは、日本の子どもの貧困や教育格差などの課題に取り組むため、経済的に苦しい家庭が本当に望むことは何かを模索した結果、子どものための無料の学習支援に行き着き、2009年に東京に設立された。東日本大震災時には、東北事業部を設置して被災地復興支援を行った。キッズドアという名前のとおり、日本の子どもたちの社会へのドアを開けるべく、多くの大学生・高校生ボランティアとともに、国内の子どもの教育支援に特化した活動を展開している。
宮城県南三陸町の子どもたち応援プロジェクト
宮城県南三陸町戸倉地区の戸倉小学校(2015年度から新校舎に移転)及び戸倉中学校(2013年度閉校、2014年度から志津川中学校に併合)は、津波の被害により校舎が使えなくなったため、隣町・登米市の旧善王寺小学校の校舎等を借り、2011年5月10日から新学期をスタートさせた。
キッズドアは、日本財団「ROADプロジェクト」の資金助成を受けて、学校再開前に旧善王寺小学校の清掃と、戸倉地区の子どもたちの学習・遊びの支援、学校再開後は「放課後子ども教室」での遊び・学習の支援や、子どもの気持ちを開放する目的での「アートワークショップ」など、様々な支援を行った。
実施概要(2011年4月14日~17日)
・宮城県南三陸町戸倉地区の小学生・中学生が通う学校の清掃、物資搬入
○4月14日(木)
・被災者支援ボランティア向け メンタルケア セミナー(19:00~21:30)・新宿西口 スバルビル(駅側)出発(23:00)
○4月15日(金)
・南三陸町災害ボランティアセンター到着、活動開始報告(9:00)
・登米市立善王寺小学校(廃校)到着、学校清掃・物資搬入(10:30~16:00)
・宮城県南三陸町戸倉地区指定避難所「宮城県志津川 自然の家」到着(18:30)
・翌日からのプログラム内容の準備作業 他(就寝まで)
○4月16日(土)
・子どもたちの遊び&学習プログラム
「あおぞら教室~キッズ・キャンパス」(9:00~16:00)
○4月17日(日)
・子どもたちの遊び&学習プログラム
「あおぞら教室~キッズ・キャンパス」(9:00~11:30)
・「自然の家」出発(13:00)
・新宿西口 スバルビル(駅側)到着(22:30)
戸倉小学校は、2012年4月に志津川小学校内に移転、併設され、2015年10月に新校舎が完成、移転したが、新校舎に移った後も児童の多くはスクールバスで通学した。キッズドアは、南三陸町生涯学習課からの依頼を受けて、スクールバスが来るまでの間、地元のお母さんたち(30代、40代中心)を雇用し、子どもの見守り活動(戸倉っ子放課後子ども教室)を行った。
子どもたちの遊び&学習プログラム「あおぞら教室~キッズ・キャンパス~」
避難所では、子どもから「勉強したい」「いっぱい遊びたい」という声や、親から「避難所でも勉強する習慣をつけさせたい」「規則的な生活リズムを取り戻させたい」という声が多くあり、子どもたちの遊び&学習プログラム「あおぞら教室~キッズ・キャンパス~」の開催に至った。当教室では、学校に行くという「日常」を出せるよう、時間割の掲示、名簿作り・出席確認、起立・礼・着席の号令などの工夫がなされた。


放課後学習会
2012年から戸倉中学校放課後学習会として、下校のスクールバスが出るまでの放課後の時間を使い学習支援を開始。2014年に志津川中学校に併合後、志津川中学校放課後学習会として中学3年生を対象に開催。町内で受験指導ができる人材確保が難しく、教員の負担軽減を目的に仙台から支援員を派遣。また、2015年からは、わたす日本橋とのテレビ会議システムを活用した「Web授業プロジェクト」を実施。東京のキッズドアスタッフと学習支援ボランティアが講師を務め、オンライン授業による高校受験対策を2017年まで行った。
現在の取組~「タダゼミ南三陸」「English Drive南三陸」~
キッズドアでは、震災直後の2011年4月から南三陸町での学習支援を継続しており、2018年からは中学3年生を対象にした高校受験対策講座「タダゼミ南三陸」や、中学1・2年生を対象にした無料英語学習会「English Drive南三陸」等の支援も行っている。
現在の取組~「南三陸オンライン学習会」~
新型コロナウイルスによる休校期間が続いたことから、勉強に不安を抱える子どもたちのために、キッズドア東北では2020年5月からオンライン学習会の取り組みを開始した。これにより、遠方や経済的な理由で参加できない子どもたちにも、より多くの機会を提供できるのではないかという期待につながっている。
・特定非営利活動法人キッズドア東北事業部「設立のきっかけ」
https://kidsdoor-tohoku.net/about/
・特定非営利活動法人キッズドア東北事業部「南三陸町の子どもたち、東日本大震災から5年目の現状と報告」(2016年)
・特定非営利活動法人キッズドア東北事業部「【実施報告】宮城県南三陸町の子どもたち応援プロジェクト第一弾 4/14夜~4/17」(2011年4月)
http://kidsdoor-fukko.net/?p=441
・特定非営利活動法人キッズドア東北事業部「南三陸での学習会が今年もスタート!」(2020年9月)
http://kidsdoor-fukko.net/?p=6891
・特定非営利活動法人キッズドア東北事業部「Blog」
・産経ニュース「被災地の「学習支援」 地域の事情に合わせた“配慮”と“工夫”を」(2015年3月)