復興の教訓・ノウハウ集

復興の教訓・ノウハウ集

災害からの復旧・復興過程で生じる課題に対し、東日本大震災における状況とこれに応じた官民の取組事例、専門的知見も踏まえた教訓・ノウハウを記載しています。(令和3年3月公表)

14-2)

支援人材に対するケア・育成

事例名 生活相談支援員研修:仮設住宅コミュニティリーダー支援事業
場所 岩手県(大船渡市、大槌町、釜石市)
取組時期 応急期復旧期復興前期復興後期
(2011 年9月~2013 年3月)
取組主体 公益財団法人日本財団、NPO法人いわて連携復興センター、ジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献委員会

取組概要

 公益財団法人日本財団、NPO法人いわて連携復興センターが、民間企業のジョンソン・エンド・ジョンソンの資金支援により、大船渡市をモデルに仮設住宅コミュニティリーダー支援事業として、応急仮設住宅に配置された生活相談支援員のスキルアップのための研修を実施した。

具体的内容

応急仮設住宅への生活相談支援員の配置

 大船渡市の応急仮設住宅団地では、入居者の引きこもり、孤立世帯の発生、活用されない集会所といったコミュニティづくり不足の課題があったため、内陸部で被害の少なかった北上市に支援を依頼した。
 北上市はこの支援要請に応えて、緊急雇用創出事業を活用し、人材派遣会社と協働で応急仮設住宅に生活相談支援員を約80名配置し、あわせて各地区に地区マネージャー7人とコールセンター専門員4人を置き、支援員の活動を支える体制をつくった。
 その後、北上市といわて連携復興センターが共同支援協定を結び、大船渡市への協働支援チームとして2011年9月に業務を開始した。
 しかし、応急仮設住宅に常駐する生活相談支援員は応急仮設住宅の入居者などが中心で、被災者支援の経験がなく、相談・助言などの知識・技術の習得や応急仮設住宅におけるトラブル解決の支援などきめ細かな研修が必要となった。

生活相談支援員のスキルアップ研修

 そこで、日本財団といわて連携復興センターがジョンソン・エンド・ジョンソン社会貢献委員会からの寄付金により、大船渡市をモデルとして応急仮設住宅におけるコミュニティリーダー支援事業を実施した。
 具体的には、日本財団といわて連携復興センターが生活相談支援員のスキルアップのための傾聴スキル、ストレスケア、パソコン講座、マネジメント・コンプライアンス等に関する研修を企画し、実施した。
 日本財団は、東日本大震災への支援として、1)緊急支援、2)コミュニティ支援、3)人材育成、4)産業支援、5)仕組み構築の5つを柱としたROAD(Resilience will Overcome Any Disaster)プロジェクトを展開していた。そのうちの一つが応急仮設住宅の運営における様々な課題の解決やコミュニティ形成へ向けた仮設住宅コミュニティリーダー支援事業であり、その一環としてこの事業が実施された。
 大船渡市で実施されたこのモデル事業は、同様の課題を抱える被災地における先行事例として注目を集め、2012年2月には大槌町、同年3月には釜石市へ横展開された。

<出典>(他の事例集等への掲載)
・公益財団法人日本財団「ROAD PROJECT 東日本大震災1年目の活動記録」
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/02/wha_pro_roa_02.pdf

・公益財団法人日本財団「ROAD PROJECT 東日本大震災2年目の活動記録」
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/01/wha_pro_roa_03.pdf

・公益財団法人日本財団「ROAD PROJECT 東日本大震災3年目の活動記録」
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/01/wha_pro_roa_04.pdf

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