復興の教訓・ノウハウ集

復興の教訓・ノウハウ集

災害からの復旧・復興過程で生じる課題に対し、東日本大震災における状況とこれに応じた官民の取組事例、専門的知見も踏まえた教訓・ノウハウを記載しています。(令和3年3月公表)

10-1)

災害公営住宅入居者への支援

事例名 いわき市災害公営住宅入居選考基準
場所 福島県いわき市
取組時期 応急期復旧期復興前期復興後期
取組主体 いわき市

取組概要

 いわき市では、学識経験者や災害公営住宅建設地区代表者で構成される検討委員会を設置し、災害公営住宅入居選考基準の検討が行われた。
 選考基準では、地域コミュニティの形成や子育て・若者世帯への配慮など、将来的な地域の活性化や個別世帯の置かれた状況に細かく対応できるように配点が工夫された。

具体的内容

いわき市における災害公営住宅の整備状況

 福島県いわき市では、7地区に計16か所の災害公営住宅団地が整備され、計1,513戸が被災者に提供された。事前に実施したアンケート調査の結果では、アンケート未回答者からの申込みも勘案すると、整備戸数を上回る多数の申込みが予想された。そのため、いわき市では、入居選考基準を策定するとともに、第1希望から第6希望まで申込を受け付けた。その結果、実際には申込受理件数が整備戸数を下回ったことから、空き住戸については後日再募集を行った。

いわき市災害公営住宅入居選考基準検討委員会の設置

 入居選考基準の策定にあたり、いわき市では、学識経験者及び災害公営住宅建設地区代表者で構成される「いわき市災害公営住宅入居選考基準検討委員会」を設置し、入居希望者の要望や課題の検討が行われた。
 2013年5月~9月まで計4回の委員会を経て、同年9月18日に市に提出された提言書では、地域コミュニティの形成や地元回帰希望者への配慮、子育て・若者世帯への入居の配慮など、災害公営住宅の入居選考基準に関する考え方が提示された。市では、この提言内容を踏まえ、9月20日に「いわき市災害公営住宅入居選考基準」を策定した。

いわき市災害公営住宅入居者選考基準

 いわき市災害公営住宅入居者選考基準では、地域の復興及びコミュニティを特に重視すべきとの考えのもと、「震災時に同じ地区に居住していた被災世帯がグループとなって災害公営住宅への入居を希望する場合」と「震災以後に同じ地区に居住している被災世帯がグループとなって災害公営住宅への入居を希望する場合」は地域コミュニティの形成につながるものとして最高点(15点)が配された。同様に、「震災時に居住していた地区に戻る世帯」も地元への回帰として最高点が配された。また、地域の将来を担う世代を重視し、「18歳未満の子がいる世帯」「夫婦(婚約中の者を含む)の合計年齢が70歳以下の世帯」も高配点(10点)とされた。さらに、各世帯の状況に細かく配慮するため、「高齢者世帯」、「障害者・要介護者世帯」、「世帯人数」及び「多子世帯」など程度に応じて細かく配点がなされた。
 申込対象世帯は、団地別に第1希望から第6希望まで申込ができ、選考基準に基づき点数が高い世帯から順に入居者が決定された。

<出典>(他の事例集等への掲載)
・いわき市「災害公営住宅」
http://www.city.iwaki.lg.jp/www/genre/1445400148888/index.html

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