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農林業の高度化・先進化
事例名 | 農業経営の高度化・多角化 |
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場所 | 福島県いわき市 |
取組時期 | 応急期復旧期復興前期復興後期 |
取組主体 | 主体:有限会社とまとランドいわき、株式会社ワンダーファーム、株式会社JRとまとランドいわきファーム 協力: JR東日本、農林水産省 他 |
取組概要
有限会社とまとランドいわきは、2001年の会社設立前からトマトの生産やジュースなどの加工・販売事業に取り組んでいたが、2013年に株式会社ワンダーファームを設立し、2016年、いわき市内にレストランやトマトの収穫体験ができる複合型農業体験施設「ワンダーファーム」を開設した。さらに、2016年には、JR東日本と連携して株式会社JRとまとランドいわきファームを設立し、トマト栽培施設を整備するとともに、首都圏の店舗や飲食店など新たな販路開拓へ取り組んでいる。
具体的内容
トマトの生産から食品加工・レストランなど多角的な事業展開
有限会社とまとランドいわきは、2001年の会社設立前から福島県いわき市で本州では初となるオランダ式の「ココウール養液栽培システム」のための施設を建設し、トマトを生産するなど農産品の加工事業を開始した。
2011年の東日本大震災では、施設損壊、風評被害により事業存続の危機に直面したが、施設の復旧後、安全性に関する情報発信や検査体制の確立等により、経営を安定化。
2013年には、有限会社とまとランドいわきを母体として株式会社ワンダーファームをいわき市内に設立。2016年には「五感を耕す。農と食の体験ファーム」をコンセプトとした複合型農業体験施設「(株)ワンダーファーム」を開設。株式会社ワンダーファームでは、併設する加工施設で、トマトをジュースやジャム、ドレッシングなどに加工し付加価値を付けるとともに、レストランやカフェでの飲食提供や直売所での販売を行っている。また、トマト収穫体験やBBQスペースの設置、多目的利用ができるガーデンスペースの設置等、さまざまな利用者を対象とする交流スペースとしての機能も備えており、交流人口の拡大、地域活性化の活動拠点として大きな役割を果たしている。

写真:ココウール養液栽培システムを使った栽培の様子
(出典:とまとランドいわき ホームページ)
また、地域おこしの一環として人材育成にも取り組んでいる。2016年7月キリンホールディングス㈱が「復興応援 キリン絆プロジェクト」の一環として、「東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクト」を開催し、将来にわたる農業の担い手やリーダーの育成を目的とした研修事業に共同して実施している。
JR東日本との連携による首都圏での事業拡大
JR東日本は「地域に生きる」をコンセプトに地域の農業者と連携して、地域産品の販路拡大や6次産業化の取組を進めていた。2016年には、有限会社とまとランドいわきの事業に共感したJR東日本と連携して「株式会社JRとまとランドいわきファーム」を設立。同年、国の「強い農業づくり交付金」を活用して、株式会社ワンダーファームの隣接地に太陽光を利用したトマト栽培施設を建設(敷地面積2.5ha)。
生産されたトマトは、ワンダーファームでの加工・販売に加え、いわき中央卸売市場への出荷、JR東日本グループの首都圏のエキナカ店舗や飲食店でも使用されている。
いわきのトマトPRのためのラッピングトレインの運行や、駅などでのプロモーション活動等を通じ、地方の生産者と都市の消費者をつなぐ新たな販路開拓に取り組むとともに、交流人口の拡大を通じた地域の活性化を目指している。
・被災地の元気企業40 -創造的な産業復興を目指すフロントランナーたち(2015年2月) p.86
・JR東日本「JR東日本が地域の方々と一緒に栽培したトマトが様々なメニューで販売開始」(2016年9月)
https://www.jreast.co.jp/press/2016/20160914.pdf
・東北農政局「各県毎の6次産業化事例集」
・経済産業省「福島イノベーション・コースト構想推進分科会(第1回)資料5」
https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu/committee/innovation/bunkakai/pdf/171127_01j.pdf
・農林漁業成長産業化ファンド(A-FIVE)
・平成27年度「強い農業づくり交付金」
・津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金
・ふくしま地域産業6次化復興ファンド