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事業再開に向けた取組
事例名 | 遊休機械無償マッチング支援プロジェクト |
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場所 | 東北6県 |
取組時期 | 応急期復旧期復興前期復興後期 |
取組主体 | 日本商工会議所、東北六県商工会議所連合会、仙台商工会議所 |
取組概要
日本商工会議所、東北六県商工会議所連合会、仙台商工会議所では、2011年6月、震災により生産設備や機械が流出・損傷し、事業継続が困難となった被災地の中小企業を支援するため、全国各地の会員企業に自社の遊休機械・設備・車両の提供を呼びかけ、被災企業に無償で提供する「遊休機械無償マッチング支援プロジェクト」を実施した。
2015年12月までの間に5,731件の機械提供の申出があり、このうち3,266件のマッチングが成立し、被災地323事業所に機械が提供され、早期事業再開を支援した。
具体的内容
プロジェクトのきっかけ
震災直後に仙台商工会議所に応援派遣された名古屋商工会議所の経営指導員が仙台市内の被災企業の事業再開を支援するため、面識のあった名古屋市内の事業者に機械の提供を要請したのがきっかけである。早期の事業再開は東北6県全体の産業復興の課題だったことから、日本商工会議所が中心となって、全国各地の商工会議所に機械等の提供を呼びかけるプロジェクトに発展した。
被災企業のニーズの把握と会員企業への提供要請
被災地の商工会議所の経営指導員や東北六県商工会議所連合会が緊急雇用事業で雇用した震災対応相談員が被災企業を訪問し、生産再開に必要な機械・設備のニーズを把握し、同連合会のデータベースに登録した。
一方、日本商工会議所から全国514商工会議所(当時)に、各会員企業が提供可能な機械・設備・車両の情報提供を呼びかけ、各会議所が協力可能と回答した会員企業と機械等を日本商工会議所のデータベースに登録した。
被災企業への機械等の提供
機械の目利き人である震災対応相談員が被災企業のニーズに合致する機器・設備等を日本商工会議所のデータベースから抽出し、被災企業とのマッチングを支援した。
被災企業への輸送費は提供企業が負担する必要はなく、全国から東北六県商議所に寄せられた義捐金を活用した。
また、日本商工会議所は機械の帳簿価額を広告宣伝費として損金算入できる税制措置を国に要望し、機械提供企業の税負担を軽減した。
商工会議所のネットワークが迅速な支援に結実
プロジェクトがスタートして4年半の間に、全国から5,731件の機械提供の申出があり、このうち3,266件のマッチングが成立した。全国30都府県83商工会議所の448事業所から被災地10商工会議所323事業所に機械が提供された。
提供された機械は中古品ではあるが、そこにはものづくり企業からの「仲間の力になりたい」という熱い想いが込められている。東日本大震災では国・県の手厚い助成金が交付されるグループ補助金が創設されたが、申請から交付決定までには時間と手間がかかる。
このプロジェクトは、平時から中小企業の経営を支援する産業支援機関の全国的なネットワークを活用したものであり、被災企業の実態に即した血の通った迅速な支援に結実した。

図:日本商工会議所「遊休機械無償マッチング支援プロジェクト」スキーム図
(出典:日本商工会議所ウェブページ 「遊休機械無償マッチング支援プロジェクト」)
・日本商工会議所「遊休機械無償マッチング支援プロジェクト」
・東北六県商工会議所連合会・日本商工会議所中小企業振興部「全国から届けられた明日への希望―遊休機械無償マッチング支援プロジェクト5年間の軌跡―」