65-2)
震災遺構の保存・震災伝承拠点の整備
事例名 | 3.11伝承ロード |
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場所 | 青森県、岩手県、宮城県、福島県 |
取組時期 | 応急期復旧期復興前期復興後期 |
取組主体 | 震災伝承ネットワーク協議会(国土交通省東北地方整備局、青森県、岩手県、宮城県、福島県、仙台市) 一般財団法人3.11伝承ロード推進機構 |
取組概要
標準化された基準をもとに被災各地の震災伝承施設を登録・公開することにより、震災伝承施設をわかりやすく広報し、震災伝承の普及・拡大を図っている。
具体的内容
震災伝承ネットワーク協議会の設立
2018年7月、「岩手県、宮城県、福島県で整備する復興祈念公園及び青森県、岩手県、宮城県、福島県、仙台市において整備または整備を今後検討される震災伝承施設等を含め、震災伝承をより効果的・効率的に行うためにネットワーク化に向けた連携を図り、交流促進や地域創生とあわせて、地域の防災力強化に資すること」を目的として、国土交通省東北地方整備局及び被災4県1市により「震災伝承ネットワーク協議会」が設立された。同協議会は、「3.11 伝承ロード」構想を提案するとともに、「震災伝承施設」登録制度を設け、2019年3月に一次募集の結果として192施設の一覧を公開した。
その後、2019年8月に「3.11伝承ロード」の構築と運営を継続的に支援する組織として、大学、観光振興団体、被災地方公共団体等から成る「一般財団法人 3.11 伝承ロード推進機構」が設立された。
震災伝承施設を結ぶ「3.11伝承ロード」の形成
「3.11伝承ロード」では、「震災伝承施設」として登録された施設のマップや案内標識を整備することにより、震災伝承施設のネットワーク化を進めている。「震災伝承施設」への登録条件には次の5項目があり、いずれか一つ以上に該当する施設が第1分類として選定される。
・災害の教訓が理解できるもの
・災害時の防災に貢献できるもの
・災害の恐怖や自然の畏怖を理解できるもの
・災害における歴史的・学術的価値があるもの
・その他:災害の実情や教訓の伝承と認められるもの
第1分類のうち、公共交通機関や駐車場等の利便性が高く、来訪者が訪問しやすい施設は第2分類に選定され、さらに、案内員の配置や語り部活動等、来訪者の理解の促進に配慮している施設は第3分類に選定される。第2・3分類の登録を受けた施設は、専用のピクトグラムで情報発信をすることができ、第3分類となった施設は、施設の案内標識に当ピクトグラムを使用することができる。2020年10月12日時点で、第3分類は46施設、第2分類は66施設、第1分類は128施設が登録されている。

ピクトグラム(出典:震災伝承ネットワーク協議会)
3.11伝承ロード研修会
一般財団法人 3.11 伝承ロード推進機構では、東北各地の震災遺構や伝承施設を通して、被災後の復旧・復興について学び、備えることを目的とした「3.11伝承ロード研修会」を実施している。モデルコースには、宮城県女川町の「シーパルピア女川」、石巻市の「旧北上川築堤現場」などを巡り“賑わいの創出”を学ぶコースや、岩手県釜石市の「いのちをつなぐ未来館」、宮古市の「たろう観光ホテル」などを巡り、“津波常襲地域の知恵と津波との戦い”を学ぶコース、福島県のイノベーションコースト構想をもとに新規産業の創出と地域の“なりわいの再生”を学ぶコースなどが設けられている。
・一般財団法人3.11伝承ロード推進機構「3.11伝承ロード推進機構ホームページ」
https://www.311densho.or.jp/
・震災伝承ネットワーク協議会事務局「震災伝承ネットワーク協議会ホームページ」
http://www.thr.mlit.go.jp/sinsaidensyou/index.html
・一般社団法人東北経済連合会,一般社団法人東北地域づくり協会「「3.11伝承ロード」が動き出します」(2019年8月)
https://www.tohokuck.jp/notice/20190801/20190801.pdf