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道路網の復旧・復興
事例名 | くしの歯作戦 |
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場所 | 青森県、岩手県、宮城県、福島県 |
取組時期 | 応急期復旧期復興前期復興後期 |
取組主体 | 国土交通省 東北地方整備局、地元建設会社、道路管理者、自衛隊、警察、県市町村の関係機関 |
取組概要
発災翌日から、内陸部を南北に貫く東北自動車道と国道4号から、「くしの歯」のように沿岸部に伸びる複数の国道を、救命救援ルート確保用に啓開する(切り開く)作戦を「くしの歯作戦」として実行した。
余震や津波の再襲来の危険がある中、建設会社や道路管理者が啓開作業にあたり、自衛隊、警察、県市町村の関係機関による所有者不明の家屋等の確認、行方不明者の身元確認等の協力もあり早期に道路啓開を完了することができた。
具体的内容
迅速な被害確認と対策立案
東日本大震災の大津波は太平洋沿岸の各地に壊滅的な被害をもたらし、がれきや橋の流出で沿岸部の各地を孤立させた。
発災直後、東北地方整備局の災害対策室に局の幹部や職員が集まり、道路関係事務所や出張所と連絡を取り、救急救助や救援物資輸送のための被害確認と対策立案を急いだ。そして直ちに「くしの歯」作戦を決行した。
関係者が一丸となった3ステップの緊急道路啓開
余震が続き、津波警報が出されている中で、国土交通省 東北地方整備局の職員、地元の建設会社、自衛隊、警察、県市町村の職員等が一丸となり、3段階の懸命な緊急道路啓開作業(図1、写真1)を行った。
第1ステップでは、内陸を縦走する東北自動車道・国道4号の縦軸ラインを確保した。
第2ステップでは、東北自動車道・国道4号から沿岸地域に通じる横軸ラインを確保した。翌日12日には横軸を11ルート、15日には15ルートが開かれ、救急車や警察、自衛隊などの緊急車両が通行可能になった。
第3ステップでは、沿岸地域を結ぶ国道45号、6号のラインを確保した。18日には97%の啓開が完了した。18日以降は応急復旧の段階に移行した。

図1:くしの歯作戦 全体像(出典:国土交通省 東北地方整備局)


写真1:陸前高田市内の道路啓開(左:啓開前、右:啓開後)(出典:国土交通省 東北地方整備局)
・国土交通省 東北地方整備局 震災伝承館「啓開「くしの歯」作戦」
http://infra-archive311.jp/s-kushinoha.html
・国土交通省 東北地方整備局「東日本大震災の実体験に基づく災害初動期指揮心得」(2015年2月)
https://www.thr.mlit.go.jp/bumon/kisya/kisyah/images/54939_1.pdf
・災害応急対策業務に関する協定