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平野復興大臣の会見[平成24年11月6日]

平野復興大臣記者会見録 (平成24年11月6日(火)10:16~10:36 於:復興庁記者会見室)

1.発言要旨  
 4点報告があります。
 まず、「復興に当たっての多様な担い手による連携事例」及び「男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~」の公表についてです。
 お手元に2種類の事例集を配付しているかと思います。
 まず配付資料「復興に当たっての多様な担い手による連携事例」ですけれども、地域の復興に当たっては、行政だけではなく、企業やボランティア団体など多様な担い手との連携が重要であり、復興に当たって行政機関を含む三者以上の主体による「連携事例」を第一弾としてまとめ、ホームページに掲載しています。
 例えば、配付資料「復興に当たっての多様な担い手による連携事例」3ページの連携事例ですけれども、「大船渡仮設住宅運営支援事業」では、大船渡市において、北上市とNPO法人、企業が連携し、仮設住宅の大船渡市民を雇用して、仮設団地の住民への声かけ、自治会発足の手伝いなど、被災者へのきめ細かな支援を行っています。
 それから「男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~」ですけれども、男女共同参画の視点が取り入れられるよう女性が活躍している事例や、女性を支援している「参考事例集」を第一弾としてまとめています。これについては、例えば配付資料ですけれども、「男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~」1ページの「1.復興計画に関する女性の意見を聞く」事例では、岩手県が復興計画を策定やその実施の過程において、より多くの女性の意見を反映させるため、女性有識者と意見交換会を行い、そこでの意見を計画の内容や計画の推進に活かしていくということです。これは、第一弾ですけれども、これからも各地域の取り組みを積極的に吸い上げまして、事例集という形で公表をしていきたいと思っています。
 2点目の報告ですけれども、第5回復興推進委員会を11月9日(金)13時30分から16時30分まで三田共用会議所において開催する予定です。 岩手、宮城、福島の3県から復興状況についての報告をいただくとともに、関係省庁からの復興の取り組み状況について報告いただく予定です。
 3点目ですけれども、宮城県女川町及び栃木県高根沢町の復興推進計画の認定についてです。
 女川町の計画は、鷲神浜と小乗浜において、漁業関連施設、水産加工施設等の立地を促進するため、用途制限の緩和を行うものです。
 高根沢町の計画は、震災の影響により町立小学校の建て替えが必要となったため、その工事期間中は仮設校舎を活用しているところ、その存続期間を延長するというものです。
 最後になりますけれども、大熊町の住民意向調査結果(速報版)の公表です。
 これは、よく見ていただきたいと思いますけれども、今回は大熊町の実情を鑑み、町外コミュニティーにも焦点を当てた調査を実施しています。調査は分散避難も含めた全5,378世帯を対象としてやっています。約64%の回答率でした。
 調査結果について、例えば10ページ目を見ていただきたいのですが、現時点での帰還の意思ということなのですが、現時点では帰還意思については、「戻りたいと考えている」が11%、「判断がつかない」というのが42%、「戻らないと決めている」のが45%という数値になっています。それで、年代別の調査結果を見ますと、「10代から30代」と「60代以上」では、現時点で戻りたいと考えている人の割合が3倍ぐらい違います。全体として小さいのですが3倍ぐらい違うということで、10代以降で、「10代-30代」は現時点で戻らないと決めている人が5割を超えているという状況だということです。
 同じ10ページ目の上の表を見ていただきたいと思いますけれども、復興に必要なものとして複数回答で回答をいただいていますが、まず「放射線量の低下」。これは当然のことかと思います。大熊町は全体として放射線量の高い地域が非常に多いということで、まず放射線量の低下ということをかなりの人が挙げています。
 2番目で気になるのが「原子力発電所の安全性の確保」ということであり、プラントの今の状況について、かなりの人が不安視をしているという実態もこの中で明らかになっているということです。特に大熊町はプラントに近い場所に住んでいる方が結構多いということですから、このことについては、実は大熊町だけではなくて、ほかの町でも同じような傾向にあるのですが、これはきちんと受けとめなくてはならないと思います。
 「生活用水の安全性の確認」については、飲み水について、特に皆さん方、これは気にされると思います。飲み水に何らかの放射性物質を含んでいるということだけで一気に生活不安の原因になってしまいますので、こういう結果が出ているということもよく注視していかなくてはならないと思います。
 13ページ目ですけれども、「現時点でまだ判断がつかない」と答えた方が求める情報として、「社会基盤の復旧時期の目途」、「放射線量の低下の目途」、「受領する賠償額の確定」、「中間貯蔵施設の情報」が上位に上がっています。
 現時点で戻りたいと考えている方が非常に少ない一方で、帰還に向けて悩んでいる住民も相当数はおられるということ、要するに現時点で判断がつかないということですから、相当数いるということもよく考えていく必要があるということです。
 避難期間中の居住形態についてですけれども、7ページ目ですが、今後の避難期間中に希望する居住形態について、「持ち家」を希望する方が54%と半数以上を占め、「公営住宅」を希望する方は2割以下、19%ということです。  7ページ目、町外コミュニティーへの居住意向については、「居住する」が23%、「居住しない」が24%、「判断ができない」が51%で、60代以上だけを捉えると33%の方が地域の方々で集まって居住したいと希望しており、居住意向が強いということです。
 町外コミュニティーに移転するまでに待つことができる期間については、「1年以内」、「3年以内」と答えた方が合わせて63%で、若い世代ほど早期の移転を希望する傾向があります。逆に言えば、町外コミュニティーの建設が遅れると、中には賠償金がある程度目途がついた段階で自分の家を建てる方も出てくることも考えられるということです。
 今回の調査を踏まえ、大熊町の住民の懸念に応えていくために、まず何といっても、これは日曜日(4日)の仮設住宅に住んでおられる方々の御指摘の中でもたくさんいただいたのですけれども、損害賠償の早期支払いの実施が強く求められています。それからあと、帰還に向けた判断材料として中間貯蔵施設も含め除染の見通しを明らかにしていくこと。それから、プラントの問題につきましては、これをどうすればいいか。これはなかなか難しい問題がありますが、プラントの安全性ということについては、何か専門的な見地から住民の立場に立っての影響評価みたいなものは、やはり必要なのではないかと今考えています。
 あと、先般設置した長期避難者等の生活拠点の検討のための協議会の内容を活用しながら、災害公営住宅の整備等を含めた復興の拠点の検討を加速していくことということです。  戻らないと決めているという方も、いずれどこかの段階で戻るというふうな考え方に変わっていくかもしれませんが、相当数がいるということで、新しい生活を始めるための支援に努めていく必要があると考えています。
 あともう一つは、町全体として4割、あるいは5割近くの人が戻らないと決めるということ、あるいは4割近くの方がまだ判断がつかないでいるということ、これについては、先ほど言いましたように賠償の支払いをできるだけ早期化すること、必要とされている情報をしっかり出していくこと等をしっかりやるということが当然のことですけれども、あわせていろいろなことを考えておかなくてはならないと思います。
 我々は、できるだけたくさんの方々が戻っていただくための条件整備ということを鋭意進めるということでやってきましたし、これからもやっていきます。条件整備を、姿勢を示しながら、できるだけたくさんの方々に戻ってきていただけるように、最優先にやっていきますが、同時に、例えば4割以上の方が戻らないということを決めるということは、例えばどういうことが起きるのか。一つの町で4割の方の不在地主が発生するということになります。こういう町が、これからいろいろな町の復興をするときに、町の計画、市街地の再整備等をやるときにどういうことを考えていかなくてはならないか、これも十分今から想定をしていかなくてはならないと思います。用地の交渉をするとき、権利調整をするときに不在地主になってしまうという方々、もちろんその方は大熊町の町民だったというふうになるわけですが、移住というのは、住民票も移して、もう戻らないと決意されているわけですから、こういった問題をどうするかという問題です。
 日曜日(4日)に現地に行って、家屋の劣化のスピードについては、私どもの想定を上回るスピードで進んでいるという中で、将来の、いわゆる特に帰宅困難区域のまちづくりというのをどのようにやっていくのか。それは家屋が劣化するということだけではなくて、戻らない人もいるという中で、例えばこれは45%、このまま平均数値だとすれば、50戸の家屋があれば25戸は戻らないというふうになりますから、そういう状況の中でどういう居住環境をつくっていくことができるのか。家屋の劣化も進んでいるという中で、様々な想定をしながら、対策を今から練っておくということも大事だと思います。
 今回の調査、これからまだまだほかの町村でも同様の調査が出てきますが、これは第一弾目の調査であり、今、名前を無記名で調査をやっていますけれども、最終的には個人情報の問題もありますが、名前を入れて意向調査等をすることも次のステップとして準備していかなくてはならないと考えています。それが出てきますと、何の地区について、どの地区についてはこういう方々が戻る、戻らないということで、その地域の状況もわかってきますので、これをやるためには、まだあと一、二年ぐらいかかるかもしれませんが、そういったことも想定しながら、いろいろ準備を進めていくことが大事だと思っています。
 少し長くなりましたけれども、以上です。

2.質疑応答
(問)この大熊町のアンケートの件で、戻らない人が4割以上いるということもびっくりしたのですけれども、中でも世代間のギャップで、若年層ほど戻らないという人が多いということになると、将来の町の人口構成は高齢者に偏るということになるかと思うのですけれども、こういったことへの配慮についてお考えをお聞かせください。
(答)全くおっしゃるとおりです。ですから、あえて今触れなかったのですけれども、これを見てすぐ皆さん察していただけると思っていました。全くおっしゃるとおりで、年齢構成が随分変わってきて、ここからは予断的に物を言うことはできないと思いますが、どういう町になるかということの姿をある程度示すことで、また住民の判断が変わってくるということも考えられます。ですから、これについては、とりあえずは今日の段階では、いろいろな頭の体操をするということでのコメントで御勘弁を願いたいと思います。しかし、住民の方々はこれを見て、皆さんがいろいろ想像されるようなことを考えていると思います。

(問)本日、この会見の前、除染及び特定廃棄物処理に関する関係閣僚会合に参加されたと思いますが、何かここで発言をされたか。何か、それから進展があるようなものがあったかお願いします。
(答)全体として私が発言したのは、中間貯蔵施設等の整備を進めるための体制強化は急がなくてはなりませんという、そういう要望を申し上げたということです。

(問)その会議のメーンについては、基本的に中間貯蔵施設のことについての話が……。
(答)中間貯蔵施設だけではないです。特定廃棄物の処分場の話、各県で今いろいろ大きな課題になっていますけれども、それについての報告等もありました。

(問)先日の視察のときにもお伺いしたのですけれども、警戒区域等での住宅の劣化が進んでいる問題についてなのですけれども、この住民の意向調査を踏まえると、さらに不在地主なども町の中で増えて、将来戻ったときに不在地主も増えてきそうだという問題とあわせて、何か専門家等の意見を聞いたとか、そういう対策を……。
(答)そういうしっかりとした勉強というか、いろいろな想定をした検討はやっていかなくてはならないと思います。これも十分気をつけていかなくてはなりませんが、とにかく私どもは、町というものは復活させなくてはならないと思っていますし、たとえ戻る方の人数が少なかったとしても、その人数が、その戻る方々がちゃんと安心して暮らせるような居住条件は整備するということをはっきり断言していますから、これはやらなければいけないと思います。
 そのときに1つ考えられるのは、以前も申し上げましたけれども、今までは、もとの場所に帰ってインフラ等の整備とか、さまざまな行政サービス等の提供できる条件を整備すれば、戻ってその場所に暮らせるというようなことをあたかも前提にして私どもは帰還を考えていた節があります。それは楢葉町とか、今、放射線の低いところはそれでいいと思いますが、長期の帰宅が困難になるところは、先ほど言ったように戻る人も、戻らない方も結構おられるかもしれない。家も劣化をするという状況の中では、例えば思い切って一つのニュータウンをどこかの場所につくるということで復興計画を考えたほうが早いかもしれませんし、そういったことの一つのいろいろなオプションを考えながら、これから被災自治体の方々、被災地の方々といろいろなアイデアを練っていくということになると思います。そのときに土地の問題も当然ネックになってくると思います。町としてこういう運営をするときに、この土地の所有形態等はどうあるべきか、といったこともきちんと詰めておかなくてはならないと思います。

(以  上)

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