被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 今後の課題と挑戦 【名 称】 株式会社新地アグリグリーン 【住 所】 福島県相馬郡新地町駒ケ嶺字鹿狼11-1 【代表者】 代表取締役 赤坂 保信 【連 絡】 TEL:0244-62-4500/FAX:0244-62-5881 高糖度ミニトマトの生産拡大を実現する 新地アグリグリーンの植物工場では、サンゴ砂礫農法による高糖度ミニトマトの作付けが2期目を迎えている。赤坂氏は、早期に品質管理等の体制を確立し、現在の約30アールから栽培面積を拡大することを目指す。 サンゴ砂礫農法によって収量は従来の4割増になることに加え、高糖度ミニトマトの買取単価は既存ミニトマトの約2倍となることから、栽培面積の拡大によって収益性の大幅増が期待される。今後、「スイートマシェリ」の名称で高糖度ミニトマトのブランド化を目指したいと赤坂氏は意気込む。 稼げる農業を確立し、 就労者不足解消を目指す 忙期の5月~8月にかけての人手不足は切実だ。 現在、外国人技能研修制度を利用し、海外から10名強の技能実習生を受け入れており、彼らが新地アグリグリーンの重要な戦力となっている。しかし、制度上滞在期間は最長3年とされており、期限経過後は帰国せざるを得ない。 こうした現状に対し、「サンゴ砂礫農法の実践により利益を増加させ、従業員の待遇改善に着手しなければならない」と赤坂氏は語る。先進的な農法で収益力を高め、農業を魅力的な(稼げる)産業にすることで、有能な人材が新地アグリグリーンに集まってくる。そのような好循環を生み出すことが将来的な目標である。 全ての課題を解決し たとき、「新地町の新 たな取り組みが日本の トマト栽培を変えた」 と語られることになる だろう。 「サンゴ砂礫農法」関係者相関図 サンゴ砂礫農法によるミニトマト栽培の普及を目指していた明治大学と清水建設に対して、新地アグリグリーンを紹介したのは、新地町役場の職員であった。小規模作付けと卸売市場を通じた販売が未だ一般的な農業分野において、農業を高収益な産業に変えるべく、早くから大規模栽培に取り組み、大手小売業者への直接契約による販売を手掛けていた新地アグリグリーンに白羽の矢が立ったのだ。 当時、サンゴ砂礫農法は大規模栽培の環境において実証された技術ではなかったが、赤坂氏のチャレンジによって、初めて実証事業としての一歩が踏み出されることとなった。 大手小売業者による全面バックアップで 販路の懸念を解消 どんなに高付加価値な高糖度ミニトマトであっても、販路の確保や価格の安定が達成されなければ事業として成り立たない。この点において新地アグリグリーンをバックアップしたのが、以前より生産していたトマトの直接契約先であるヨークベニマルであった。 新地アグリグリーンがサンゴ砂礫農法の実証事業として栽培するミニトマトの全量を、ヨークベニマルが買い取る約束をしてくれたことが、サンゴ砂礫農法導入の後押しとなり、高糖度ミニトマトの大規模生産への道を開いた。 新地町役場の仲介により 産学連携の商品開発が始まる しかし、生産拡大を目指すボトルネックとなっているのが就労者の確保だ。これまでも社員の募集は行ってきたが、応募してくる人は数えるほどでなかなか採用に至らず、特に収穫繁l 91

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