被災地の元気企業 40
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取り組み(事業内容) ビジョン 挑戦事例 農林漁業、いわき市 農業の6次化・高付加価値化で浜通りの活性化に挑戦 有限会社とまとランドいわき 専務取締役 元木 寛 氏 とまとランドいわきの挑戦 農のある暮らしを体現 「ワンダーファームいわき」 ● 農産品の6次化・高付加価値化、新たな雇用の創出 ● 賑わいを取り戻し、双葉郡から避難された方々といわき市民が共生する場づくり ● 農業参入企業との協業により次世代を担う農業経営者の育成 「全国屈指の高収量トマトと地域活性化を第一に考えた農業経営の実現」を理由に2013年度に農林水産祭天皇杯(園芸部門)を受賞した㈲とまとランドいわき。同社の専務取締役を務める元木寛氏は、“楽しい「農のある暮らし」を知り、体現できる”をコンセプトとした複合型施設「ワンダーファームいわき」を地元いわき市に建設し、浜通り地域の活性化と被災地域の雇用創出を更に促進することを目指している。 元木氏は、2003年にとまとランドいわきに入社し、本州で初めてオランダ式の循環型養液システムを導入するなど、義父であり代表取締役の鯨岡千春氏と二人三脚で農業経営の高度化・近代化を推進してきた。また「サンシャイントマト出荷協議会」のメンバーに名を連ねるなど地元農産品のブランド化に尽力してきた。 そんな折、福島第一原発事故により状況は一変。とまとランドいわきをはじめ福島県内の農業者は、放射性物質という見えない敵との戦いを強いられることとなる。この試練に対し、全ての苗の植え替えや早急な検査体制の確立、県内を中心とした直売強化、メディア等を積極的に活用した安全性の情報発信に取り組んだ結果、震災後2年目で危機を乗り越えた。 さらに元木氏は「ふくしま地域産業6次化ファンド」等の支援を受け、複合型施設「ワンダーファームいわき」の建設を決断する。「私の故郷である双葉郡の住民の多くは今もいわき市に避難されています。第二の故郷であるいわきに家族の憩いの場や新たな雇用を創出することで、浜通りに賑わいを取り戻し、双葉郡から避難された方々といわき市民が共生する場をつくりたい」と語る元木氏。トマトづくりから始まった元木氏の挑戦は、現在コミュニティづくりに進展している。 2015年春のオープン予定である「ワンダーファームいわき」では、以下の三つの事業を展開予定である。 加工事業 コンセプトは“熱いトマト”。いわきの特産品であるサンシャイントマトを原料にジュース、ジャム、ドレッシング等の商品を開発。トマトの付加価値を訴求することで大手メーカーとの差別化を図り、百貨店や高級スーパー等に販売することを目指す。 レストラン事業 コンセプトは“地産地消レストラン”。地域の新鮮野菜等を食材としたビュッフェ&グリルとトマトをテーマにしたアラカルトメニューを提供。近隣の観光施設とも連携し県外からの観光客に安心・安全な県産品を提供することを目指す。 ショップ事業 コンセプトは“地域の物産のハブ”。トマトのみならず地域住民が生産する米・野菜・工芸品なども販売。時には地元ならではの体験コーナーを企画することで、いわきのブランディング・情報発信拠点としての活用も予定している。 86

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