被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 今後の課題と挑戦 【名 称】 桃浦かき生産者合同会社 【住 所】 宮城県石巻市桃浦字上ノ山66番地34 【代表者】 代表社員 大山 勝幸 漁業者からの信頼獲得 「桃浦での漁業継続と村落の再生」という確固たる目標を持つ大山氏は、合同会社の設立に向けて「会社とは何か?」「生産計画はなぜ必要か?」「個人事業と比べ税務上の違いは何か?」といった漁業者の疑問を解消していった。従来、個人事業者であった漁業者は、合同会社の社員として給料制で働くことに当初は戸惑いもあったという。1回目の給料を銀行振り込みではなく、あえて現金で支給することで、徐々に社員との信頼関係を築いていったという。「合同会社の設立・運営にあたっては、漁業者からの信頼が何より重要であった」と大山氏は語る。 パートナーである㈱仙台水産からの サポート また、合同会社の立ち上げ・運営には、仙台水産の多大なる支援があった。会社経営はもちろん、仙台水産は「産地の復興なくして我が社の復興なし」との基本姿勢をもって、会長自らが直接桃浦を訪れるなど、事あるごとに漁業者と話し合いを何度も繰り返すとともに、自らが加工・販売を手掛けるという経験がない桃浦の漁業者が合同会社を運営するにあたり、①必要資金の提供といった「金融支援」、②定款・規定の作成、ITの導入等の「経営支援」、③新商品開発、ブランディングといった「販売支援」、④IT活用、自動かき剥き機導入、シングルシード養殖技術等の「新技術導入支援」 等の様々な面から支援を行っている。 新技術の導入によるかき産業の革新 合同会社では様々な新技術の導入を試みている。合同会社が取り組んでいる①水産庁補助事業として導入した高圧機によるかき剥き(=剥き子不足の解消)、②人工採苗シングルシード(一粒種)導入による養殖方法の革新と生産性向上(=天然採苗による不安定な生産体制からの回避)、③ ITの活用による漁業の「見える化」(=漁業者の経験と勘に頼った養殖からの脱却)は、日本のかき産業が抱える課題を解決するモデルになる取り組みと大山氏は考えている。 なお、①は「新しい東北」復興ビジネスコンテスト2014において優秀賞・アイリスオーヤマ賞を受賞するなど、今後の成果に期待が寄せられている。 魅力ある漁業の実現に向けて 「漁業の後継者が育たないのは、海外に比べ日本では漁業の社会的地位が低いのが原因」と大山氏は語る。2012年8月の合同会社設立以降、大山氏は同社の事業目的を世間にアピールしてきた。その結果、県内外からの入社希望者が増え、現在の従業員数は40名を数えるとともに、漁業者は合同会社で働くことに「誇り」を持つようになったという。合同会社の事業の永続性を担保するため、次代を担う人材の育成をはじめとする将来に向けた課題はあるが、「魅力ある漁業を実現し、桃浦の再生と漁業者の地位向上を目指す」と大山氏は意気込む。 【連 絡】 TEL:0225-25-2611/FAX:0225-25-2612 【 H P 】 http://www.momonoura-kakillc.co.jp/index.html 83

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