被災地の元気企業 40
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課題克服のポイント 今後の課題と挑戦 【名 称】 有限会社ヤマキイチ商店 【住 所】 岩手県釜石市平田6-83-9 【代表者】 代表取締役 君ヶ洞 幸輝 【連 絡】 TEL:0193-26-5749/FAX:0193-26-6005 【 H P 】 http://www.yamakiichi.com/ 【 E-mail 】 oyogu-hotate@yamakiichi.com 三拍子揃った 最高品質ホタテを安定して仕入れる 泳ぐホタテは、職人気質の漁師が作る三拍子揃ったホタテがなければ成り立たない。 これからも全国のヤマキイチファンに泳ぐホタテを届け、さらにヤマキイチファンを増やしていくためには、三拍子揃ったホタテを安定して仕入れる必要があり、そのために最高品質のホタテを作る漁師を増やすことが課題と考えている。 しかし、漁師は他の漁師と連携したり、協力したがらないため、質の高いホタテを作るノウハウがなかなか広がらず、三拍子揃ったホタテを作ることができる漁師が増えないのが現状だ。そこで、質の高いホタテの買取単価を引き上げることで漁師に実際のメリットを与えるだけでなく、「漁師として誇りを持つことが大事である」との想いから、販売先である高級レストランに漁師とその家族を連れて行き、泳ぐホタテの評価を体感して貰っている。今後更に漁師の意識を高め、仕入を安定化させるためには、漁師や漁協との連携を強化することが必要不可欠になると社長は考えている。 三陸をあるべき姿に 「三陸をあるべき姿に」が剛一氏の口癖である。それは、ある人物から「世界で搾取されているのはアフリカ。日本では東北」と言われたことをきっかけに、三陸の農水産品が適正な価格で評価されていないという危機感を持ち、資源豊富な三陸で第一次産業に携わる人達の所得が向上し、さらに仕事に対する誇りを取り戻すことができればとの思いにつながっている。「三陸をあるべき姿に」するため、まずは三陸のホタテのブランド化を目指して漁師を育成し、次にホタテ以外の海産物、最終的に三陸全体の農水産品の品質を高 め、ブランド化する ことを目指している。 「自分の会社のこ とばかり考えていて はダメ」君ヶ洞社長 のこの想いは、剛一 氏、秀綱氏にしっか りと受け継がれてい る。 志の承継により事業を成長させる 君ヶ洞社長の志は息子である専務の剛一氏、常務の秀綱氏に受け継がれている。 顧客からの励ましが原動力になり 早期の事業再開に成功 「震災後、事業を再開するかどうか悩んでいた私のもとに、全国のお客様から多くの励ましのお手紙や電話・メールを頂きました」 震災により全てがゼロに戻ってしまったと思っていたが、そうではなかった。全国のヤマキイチファンを失ったわけではなかった。君ヶ洞社長は改めて全国のお客様に支えられていることを実感し、恩返しをしなければならないと事業再開を決意した。 その後、行政等に頼らず自力での事業再建を目指したヤマキイチ商店は、2011年9月仮設事務所にて業務を再開、そして2012年7月にはいけす・加工場が完成し、再び泳ぐホタテを全国のヤマキイチファンに届けることが可能になった。 全国のヤマキイチファンに震災前と同じように、最高品質の泳ぐホタテを届けたい。専務、常務ともに震災前よりもそのように強く思っている。現在は二人が中心となり、漁師との連携を積極的に進めると同時に、自ら高品質のホタテを養殖する漁師を育成することによって、君ヶ洞社長が作り上げた全国のヤマキイチファンにこれまで以上の品質の泳ぐホタテを安定的に届けることに挑戦している。 日本の水産業において後継者問題は大きな課題となっているが、このようなヤマキイチ商店における志の承継は、自らが扱う海産物に対する自信と誇りが大きな要因となっていることは間違いない。 (きみがほら ゆきてる) 専務 君ヶ洞 剛一 氏 81

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